累進課税とは?仕組みや所得税などの計算方法、メリット・デメリットを徹底解説
「収入が増えると税金が高くなる」と聞いたことはあっても、その仕組みまで理解している方は少ないのではないでしょうか。日本では、所得税・相続税・贈与税に「累進課税制度」が採用されており、所得や財産の金額に応じて税率が段階的に上がる仕組みになっています。本記事では、累進課税とは何かという基本から、税金の計算方法、メリット・デメリットまでを初心者向けに解説します。
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1.累進課税とは?
累進課税とは、所得や取得した財産の金額が増えるほど、段階的に税率が高くなる仕組みです。一定の金額を超えた部分により高い税率が適用されるため、所得や財産が多い人ほど納税額も増えます。
日本で累進課税が採用されている代表的な税金は、所得税・相続税・贈与税の3つです。
累進課税制度の目的
累進課税制度の目的は、負担能力に応じて税金を課すことで、所得の再分配を行い、社会全体の公平性を保つことにあります。一律の税率では低所得者の生活が圧迫されてしまうため、所得に応じて税率を変えることで、経済格差の是正を図っています。
累進課税の種類
累進課税には「単純累進課税」と「超過累進課税」があります。日本で採用されているのは超過累進課税で、所得や財産が増えるにつれて、増えた部分にだけ段階的に高い税率が適用されます。
累進課税の対象外のもの
消費税や酒税などは累進課税ではありません。また、所得税のうち申告分離課税が適用される一部の所得(退職所得、山林所得、株式等の譲渡所得等)も累進課税の対象外です。
所得税の主な種類
所得税は、所得の内容に応じて以下の10種類に分類されます。
| 事業所得 | 事業で発生した所得 |
| 不動産所得 | 不動産、船舶、航空機などの賃料で発生した所得 |
| 利子所得 | 預貯金などの利子や公社債投資信託などの運用益による所得 |
| 配当所得 | 株式などの配当金や公社債以外の投資信託・特定受益証券発行信託の運用益などによる所得 |
| 給与所得 | 勤務先での給料や賞与などの所得 |
| 雑所得 | 公的年金や、どの所得にも分類されないその他の所得 |
| 譲渡所得 | 不動産やゴルフ会員権などを売って得た所得 |
| 一時所得 | 保険の一時金や懸賞当せん金などによる所得 |
| 山林所得 | 取得してから5年以上経過した山林の木々を売ることで得た所得 |
| 退職所得 | 勤務先の退職金や厚生年金基金の退職一時金などによる所得 |
2. 累進課税のメリット・デメリット
メリット
所得や財産に応じて税率を段階的に設定することで、無理のない範囲で税金を負担できるように配慮されています。所得や財産が少ない人ほど税負担が抑えられ、生活への影響を最小限にとどめることができます。こうして集められた税収は、社会保障や公共サービスの維持・充実に活用され、教育格差の縮小や犯罪などの社会問題の抑制にも寄与すると考えられています。
デメリット
累進課税や各種控除制度が「働き控え」を生む要因となっている点が問題視されています。所得が一定額を超えることで所得税の負担が発生したり、扶養控除や配偶者控除の対象から外れたりすることを避けるため、就労時間を調整する人が少なくありません。
さらに、税制自体が複雑で計算が難しく、正しく対応するには専門知識が求められる点も、累進課税のデメリットのひとつといえるでしょう。
3. 所得税の算出方法
所得税は、1年間の収入から必要経費や所得控除を差し引いた「課税所得」に対して課されます。課税所得に応じた税率と控除額を用いて税額を計算します。
次の所得税の速算表を用いると、課税所得が300万円だった場合は【3,000,000 × 10% − 97,500 = 202,500円】となります。
| 課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
| 1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
| 3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
| 6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
| 9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
| 18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
| 40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
※出典:所得税の税率(国税庁)
4. 相続税の算出方法
相続税は、正味の遺産額から基礎控除額を差し引いた金額に課税されます。基礎控除額は【3,000万円+600万円 × 法定相続人の数】で算出できます。
相続税は、税率と控除額が取得金額に応じて段階的に定められており、法定相続分に基づく取得金額によって8段階に区分されています。次の相続税の速算表を用いると、取得金額が3,000万円だった場合、相続税は【30,000,000 × 15% − 500,000 = 4,000,000円】となります。
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | - |
| 1,000万円超から3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超から5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超から1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超から2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超から3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超から6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
※出典:相続税の税率(国税庁)
5. 贈与税の算出方法
贈与税には「暦年課税」と「相続時精算課税」があります。一般的なのは暦年課税で、1年間に受けた贈与財産の合計額から、基礎控除額である110万円を差し引いた金額に対して課税されます。
また、暦年課税には2つの税率があります。祖父母や父母から、18歳以上の子や孫に贈与する場合は「特例税率」が使われ、それ以外の贈与では「一般税率」が適用されます。
次の一般税率の速算表を用いると、贈与財産の価額が600万円だった場合、贈与税は【( 6,000,000 - 1,100,000 )× 0.3 - 650,000 =820,000円】になります。特例税率の早見表は国税庁の案内をご確認ください。
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | - |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 |
| 400万円以下 | 20% | 25万円 |
| 600万円以下 | 30% | 65万円 |
| 1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
| 1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
| 3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
| 3,000万円超 | 55% | 400万円 |
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7. まとめ
日本では所得税・相続税・贈与税に累進課税制度が採用されています。これらの税金には、各種控除や特例制度が設けられており、内容を正しく理解して活用することで、税負担を軽減できる場合があります。納税や申告を行う際には、利用できる制度がないかを確認し、自分に合った方法で無理のない対応を心がけましょう。









