ナツキさんの青色申告チャレンジ第11回「いよいよ確定申告!今年一年を振り返って」

ナツキさんの青色申告チャレンジ第11回「いよいよ確定申告!今年一年を振り返って」

ナツキさんの青色申告チャレンジ第11回は、いよいよ本番の確定申告です。フリーランスの方の「リアル」を取材するという企画趣旨から、ナツキさんには今年一年の活動を振り返っていただきました。

確定申告で所得や経費を明確にすることで、事業の成果もはっきり見えてきます。それをやりがいや達成感につなげていければ、未来の展望も広がることでしょう。

メイク指導を取り入れて大成功? 2023年を振り返る

前々回の第9回で、パソコンを経費にできるという話題が上がっていましたが、ナツキさんは実際に事業用パソコンを購入したそうです。持ち運べるよう薄くて軽いものを選んだとのことで、デバイスが大好きだという宮﨑先生と、しばらくパソコン談義で盛り上がっていました。

そんな明るいナツキさんに2023年を振り返っていただくと、「11月12月に売上が大きく伸びた」と嬉しいご報告をいただきました。

「9月に受講したビジネスコンサルセミナーで、自分の視野が広がってサービス内容が変わったんです。そこでお客様になっていただいた方もいて、売上が順調に伸びたんですよ」

具体的に、サービス内容がどう変わったのか聞いてみますと、「メイク指導」を新しく始めたそうです。ナツキさんは以前、美容部員として働いていたので、その経験を活かしたサービスです。

ナツキさんはお片付けアドバイザーとして活躍していますが、「家」のお片付けをメインとしているため、自宅に呼んでもらえるまでのハードルが高い、家の写真になるため、お客様の事例をSNSやHPに掲載しにくい、という悩みがあったそうです。

しかし、メイク指導であれば自宅に呼ぶよりもハードルも下がります。メイクアドバイスが仕事になるのは驚きだった、とナツキさんは振り返ります。

「現場を離れて長いですし、プロに比べたら自分のアドバイスなんて大したことがない、と思っていたんです。でも、サービスを始めるととても喜んでいただけて、リピート受注も入って、これが仕事にできるんだ!と目からうろこでした」

セミナーのつながりを通じて、客層も変わったそうです。ビジネスに取り組んでいる方々は「ZOOM商談の背景にこだわりたい」などの理由で空間づくりに大きな価値を見出し、ナツキさんのサービスを高く評価する方が多いそうです。これまでのお客様は、ナツキさんと同じく子育て中の女性のお客様が多かったので、違った視点でサービスを提供できるようになりました。

友達?お客様?契約書をしっかり作ろう

フリーランスの活動で悩ましいのが「どこからが仕事で、どこからがプライベートなのか」です。特にナツキさんは、自分らしさを実現するお部屋づくりやメイクアドバイスをサービスとしているため、個人的な付き合いからサービス提供に発展することが多いのです。

宮﨑先生が「契約書はどうしていますか?」と質問すると、「口頭でお互い合意して契約OKになったら、振込先を伝えて、代金は先払いでいただいています。書面での契約書は作っていなくて......」とのお返事でした。

「契約は口頭でも成立しますが、トラブルに巻き込まれないためには、契約書を交わした方がいいですね。たとえば、お客様がサービス途中でキャンセルを希望した場合、どう対応するかなど書いておいた方がいいでしょう」と宮﨑先生からアドバイスがありました。

キャンセル対応には、残り期間の分を返金する、キャンセルがあっても返金はしないなど、色々な方法があります。もちろんお客様目線としては、返金対応がある方が安心でしょう。しかし、ノウハウを教えてから返金を要求されると困る、などの理由があれば返金なしでも構いません。それ以上の価値を提供すれば、お客様には選んでいただけるからです。

まだ提供していないサービスの代金はいつ計上?

「ここで会計的な話をすると、契約書を作っておけば、FinFinなど会計ソフトへの入力にも利用できます。スポット契約と継続契約は会計の処理が異なりますから、契約書を残しておいた方が、その辺りも確認できます」と、宮﨑先生は契約書の話から発展させて、説明してくれました。

スポット契約の売上は、そのサービスを行った日に計上する、というのは会計に詳しくない方でもなんとなくわかるかと思います。では、三か月間の契約代金を、ナツキさんのように先払いで一括で受け取った場合、売上の計上はどうなるのでしょうか?

「もう払ってもらっているから、3か月分を一気に計上するのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、会計上は違います。売上高は、商品を相手に納品したり、一定のサービスを提供したタイミングなど、一定のルールで計上することとなっています。

たとえば『毎月の売上高を正確に把握したいとき』や『今年の売上に含まれるかどうか明確にするためには、翌年以降の売上を今年の売上と処理しないようにします。そのためにまだ提供していないサービスの代金は、「前受金」として処理します。例として、3か月分のサービス提供代金3万円(1か月あたり1万円)を前払いで受け取った時の仕訳は、次のようになります。

【代金を振り込んでもらった時】

借方 貸方
普通預金 30,000円 前受金 30,000円

この後で1か月分のサービスを提供した時には、1か月分の前受金を売上高として計上します。サービス提供前の2か月分の前受金は残っています。

【一か月分のサービス提供時】

借方 貸方
前受金 10,000円 売上高 10,000円

なぜこんなややこしい処理をするかというと、売上の時期を正確に把握した方が良いからです。長期間のサービス分を一気に売上計上すると、ある時に売上が一気に増えて、その後は売上がない......という状況に見えて、実際の事業状況とは違ってしまいます。

確定申告で自分の仕事に自信が!

ナツキさんにはFinFinを使って、直近の売上を入力していただきました。取材中に確定申告書提出まで行うのは難しかったのですが、この後で宮﨑先生に最終チェックをいただき、今年も無事に青色申告までたどり着けそうです。

FinFin仕訳画面

ナツキさんは個人事業主として活動を始めた時から、青色申告に挑戦していました。「どうして青色申告に挑戦しようと思ったのですか?」と質問をぶつけると、ナツキさんは当時を振り返って、こう話していました。

「確定申告が何なのか、本当に全然わからなかったんです。どうしようどうしよう、っていつもびくびくしていて。それで宮﨑先生と出会って相談したら、確定申告しなきゃ、って思ったんです。確定申告でに取り組むことで「これは仕事なんだ」という気持ちになれて、個人事業主として自立して稼いでいこうって覚悟も持てました」

ナツキさんのこのポジティブなスタンスは大変素晴らしいものです。ナツキさんのように、確定申告は面倒で大変、というマイナスのイメージにとらわれず、自分の事業を振り返り、良くしていくための機会ととらえていただければ、そういう想いでこの企画「青色申告チャレンジ」は立ち上がりました。

ナツキさんの「青色申告チャレンジ」は、これが最終回です。現在、活動されているフリーランスの方々に、楽しく読んでいただける記事を目指したい、という想いから、この連載では税務や確定申告の解説やノウハウよりも、ナツキさんのリアルなお悩みや事業への向き合い方を中心にお届けしてきました。

常に明るく前向きなナツキさんと、お話上手で的確な説明力を備えた宮﨑先生との対談は、毎回楽しい時間となりました。今回でこの連載は終了ですが、ナツキさんや宮﨑先生とは、今後も新しい企画を立ち上げていけたら、と考えています。今後とも、finタメ・マガジンをよろしくお願いいたします。

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