アナウンサー・岸田さんの青色申告チャレンジ第4回【契約のお話と、請求書の作成】

アナウンサー・岸田さんの青色申告チャレンジ第4回【契約のお話と、請求書の作成】

年末も近づき、慌ただしさを増しているフリーランスの方々も多いと思います。確定申告に向け、この時期にできることを少しずつ進めていきましょう。

フリーアナウンサーの岸田さんがチャレンジする青色申告チャレンジ、第4回目の今回は、税理士の宮﨑先生と「フリーランス保護新法」に触れつつ契約のお話をし、その後、FinFinアプリで実際に契約書を作成します。法律についても触れ、改めて契約というものの大切さを考える機会になったようです。

フリーランスの契約と「フリーランス保護新法」

宮﨑さん(以下敬称略):
今回は契約や契約書のお話もしておきましょうか。請求書と繋がる要素も多いので。岸田さんは新たなお仕事を受けるたびに契約書を作成していますか?

岸田さん(以下敬称略):
契約書については仕事の受け方で違いますね。所属している会社を通じてお仕事を受ける場合と、私個人で受ける場合があって、会社の場合は会社、個人の場合は私自身が契約をします。自分で受けた仕事では契約書をつくるまでには至らず、口約束だけのこともあります。書面に残すほうが安全とはわかるんですが、なかなか......。

宮﨑:
フリーランスにはそういうケースが多いと思います。契約が書面に残らないとなると、やはりフリーランスの立場が企業や団体に比べて弱い、ということになってしまいますよね。このことは社会問題にもなっていて、そのような経緯で制定されたのが「フリーランス保護新法」なんです。

岸田:
フリーランス保護新法!そんな法律が!

フリーランス保護新法

正式名称「組織に属さず働くフリーランスを保護するための新法」
2023年4月28日の参院本会議で可決、成立。1年6カ月以内に施行される予定。増加しつつあるフリーランスは、さまざまな点で保護されることになりました。

・取引条件明示の義務化
・支払い期日の設定(業務完了と納品から60日以内)
・一方的な報酬の減額や返品、不当な変更ややり直しなど、禁止事項の設置
・募集情報の取り扱い
・育児、介護などに関する相談への配慮

岸田:
「依頼するかもしれない」というくらいの曖昧なお声がけの仕事がなくなってしまうのは「あるある」ですが、ある程度決まっていた仕事のキャンセルは困ってしまいます。取引先によっては契約書をきちんと作成し、キャンセル料を設定してくれるのですが、全部ではないですし......。こういう法律ができるのはとても助かると思います!

宮﨑:
ええ、そこまで決められるのが一般的になれば、フリーランスの立場も守られますよね。たしかに、わざわざ契約書まではつくらないというフットワークの軽さが仕事に結びつくのも大きなメリットではあるけれど、急にキャンセルされるなどのアクシデントに困るひともいらっしゃるのでは ?そのような困りごとを減らしていこう、という動きが国単位で出てきたわけです。意外かもしれませんが、契約の時点でもインボイスが関係してきますよ。

岸田:
あ!schooの講義で宮﨑先生に伺ったお話と繋がりますね?

宮﨑:
はい。取引先企業にはインボイスの番号を確認する必要が出てくるからです。支払側は番号を持っていないフリーランスに仕事を依頼すると、支出金額が少し増えますよね。見積りの段階でそのことも考慮する必要があるから、登録したかどうかという確認はされるかなと。

岸田:
なるほど。トラブルを減らすことに繋がりますけど、その分の手間は増えちゃう。

宮﨑:
そうなんです。確認の手間を少しでも減らすために、敢えて見積書に免税事業者である旨を書き込んでおくという方法を取っている方々もでてきましたね。

岸田:
でも、そうなるとやはり番号を持っている(課税事業者である)ほうが、お仕事の幅は広がることになりますか?不利になるとまでは言えなくても、有利にはならない気が......。

宮﨑:
そうですね。私が判断の基準としてお伝えしているのは、生活費を稼ぐための「ライスワーク」と、人生を充実させるための「ライフワーク 」、この双方のバランスです。岸田さんの場合はその双方が大きく重なっているから、課税事業者になることに強くこだわることはないかもしれません。ただ、ライスワークが半分以上になる方は、課税事業者になることを検討するのもいいとアドバイスすることはあります。

岸田:
仕事の割合や性質を考えると、きっとそうですね。ただ、最近は「課税事業者ですか?番号を持っていますか?」などと聞かれることも多くて、「違います」と言うことにちょっと心苦しさも感じていまして......。

宮﨑:
発注する側の事情による質問ですね。発注者には「できるだけ課税事業者と仕事をしたい」という考えを持つ企業もあります。現時点では違っても来年からそういう方針になるかもしれない、という状況なら、事前に確認したいと考えるのもわかりますしね。

岸田:
取引先に「課税事業者になったほうが今後お取引しやすいですか?」とストレートに訊いてしまっても大丈夫なんでしょうか?

宮﨑:
いいと思いますよ。それで、もし相談できる取引先なら、いつごろまでに登録できているといいのかまで確認してみてください。特に、長くお付き合いしたい取引先であれば。「逃したくない」という取引先なら、その企業さんに合わせることも考えてみましょう。今後も状況は変わってくるので、様子見していくのがいいかと。

岸田:
そうですね。条件にしても契約書にしても、情報をアップデートしていかないと......ですね。請求する前段階のものとして、今後もっとしっかり気を付けて考えていきたいです。

宮﨑:
はい。契約書はキャンセル料なども含め、取引相手にこちらからのルールを提案でき、自分の身を守ってくれるものでもあります。「契約書に書かれていない」と言えばきちんと拒否したり、報酬や条件の変更を依頼する根拠にしたりすることもできますから。さっきも触れたフリーランス保護新法のこともありますし、契約書の内容は改めて確認してみるのがいいと思いますよ。

源泉徴収される場合とされない場合があるのはなぜ?

岸田:
請求書に関することで、ずっと疑問だったことがあるんですが......。源泉徴収される場合とされない場合があるのはなぜなんでしょうか?

宮﨑:
発注元が法人なら源泉徴収が引かれ、個人なら引かなくていいというのが基本なんですが、個人であっても源泉徴収を引く場合もあるし、実は仕事の内容によっても引く・引かないの違いはあります。たとえば、デザインは引かなくてはいけないけれど、プログラミングは引かなくていいとか。単純作業の業務は源泉徴収しないという前提なんですが......。

岸田:
えええ?プログラミングは単純作業に入るんですか?

宮﨑:
業界外のひとが普通に考えると単純作業とは言えないでしょうね(笑)。 ちょっと細かい説明をすると、『システムの設計』と『単純なプログラムの文字入力』の差が曖昧で、ざっくりとした分け方しかできない、といったところかな。

岸田:
こっちで判断できるものじゃない、っていうことはわかりました。難しい......。

宮﨑:
ええ、判断はできないです。源泉徴収のありなし決めるのはあくまでも国であって、報酬を請求する側が判断したり、あるいは自由に設定したりできるものではないんですよね。とりあえず現時点では 、新しい取引先に「源泉徴収ありの請求書で問題ありませんか?」と尋ねてしまってよいと思います。

岸田:
わかりました。源泉徴収されなかった分は確定申告後に支払うわけで、自分で管理しておかなくちゃいけないですよね。後払いみたいなのがイヤだなあって思っちゃうんですが。できればですけど先に受け取っておいてほしいです......。

宮﨑:
その気持ちはとてもよくわかりますね(笑)

確定申告に向け、事業用の口座を開設

岸田:
確定申告の準備として、事業用の口座を開設したんですが、いわゆるネットバンクなので、紙の通帳がありません。問題ないですか?

宮﨑:
はい。紙の通帳に代わるものがネット上にありますし、その明細をデータで保存しておけば大丈夫。またそれは必要書類の確認 のときにもお話しますね。

岸田:
わかりました!口座についてはもうひとつご相談が......。取引先にご連絡したものの、担当の方が間違って変更前の口座に振り込んでしまったんです。そういうときはどうすればいいですか?

宮﨑:
あり得ることですね。その場合、FinFinでは入金の記録と共にメモで登録すれば問題ないでしょう。あくまでも報酬として入金されたことが間違いなく記録されれば大丈夫。ただ、将来的に変更前の口座をプライベート用にするとして、企業がその口座に振り込んでしまった、という場合には、「事業主貸」という科目を使って残高を合わせる必要があります。

岸田:
なるほど。そういう科目があるんですね。

宮﨑:
はい。事業主貸というのは、仕事用の口座からプライベートの口座にお金を動かしたときに使う科目です。事業用のお金をプライベートで使ったとか。ただ、こういった手間は増えてしまうので、できれば今後は事業用の口座に振り込んで欲しいですね。 改めて先方に連絡しておきましょうか。

岸田:
そうしますね。またあるかもしれないですし、そういうときの科目は事業主貸、と覚えておきます!

いよいよFinFinで請求書の作成!

宮﨑:
では、FinFinで実際に請求書をつくってみましょうか。

岸田:
やってみます!請求書番号は自動で入りますね。宛先......、件名......、取引年月日はいつになりますか?請求書をつくった今日の日付になるんでしょうか。

宮﨑:
たとえば、撮影のお仕事があったとします。そうすると、その当日が取引日であり、売上が確定した売上計上日ということになります。納品物がある仕事なら、納品日が売上計上日です。一方、「契約期間」がある仕事なら、契約内容により毎月月末など=売上計上日ですね。

岸田:
わかりました!今回は取材のお仕事の請求書なので、取材の日を取引日とします。

宮﨑:
はい、それで大丈夫。その後、「請求書作成日」が売上のお金が確定した日ということになるんですが、取引日と請求日を形式上月末などに揃えるといったことはあるので、取引先からの指示があれば従ってください。「支払期限 」については企業のターンに合わせることが多いですね。

岸田:
了解です!あとは品名と金額ですね。源泉徴収額は報酬の税抜きの金額に10.21% を掛けて算出(※自動計算)。......できました!間違いないですか?

FinFinで発行した請求書

宮﨑:
うん、大丈夫ですね。間違いありません。

岸田:
よかった!PDF化して送ることもリンクで送ることもできるんですね。リンクはFinFinを持っていない取引先に送っても大丈夫ですか?

宮﨑:
大丈夫ですよ。きちんと表示されます。取引先の担当者さんも、リンクをクリックするだけ。

岸田:
すごく便利ですね!

宮﨑:
本当にね。そうだ、岸田さんは所属している会社を通してお仕事をすることもありますよね?今回の請求書は個人で受けたお仕事かな?

岸田:
そうです!個人で受けたお仕事の請求書なので、自分で請求書を発行しました。事務所を通したお仕事は事務所から発行されます。仕訳のときにはその明細(支払通知書)があればいいでしょうか?

宮﨑:
そうです。もう「仕訳」の段階に入りますね。その際にはまたよろしくお願いします!

次回、FinFinで口座登録や売上の入力にチャレンジ

第4回目の今回は、FinFinで請求書の作成を行いました。次回は個人事業者やフリーランスの仕訳に必要な「事業主借」と「事業主貸」の勘定科目や、売上計上する際に決めなければならない発生主義・現金主義についての理解を進めていきたいと思います。

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