ナツキさんの青色申告チャレンジ第5回【売上は増えなくてもOK?前年比をチェックしてみよう】

ナツキさんの青色申告チャレンジ第5回【売上は増えなくてもOK?前年比をチェックしてみよう】

いよいよ8月を迎えて、確定申告まで約半年の折り返し地点です。確定申告までにはまだ時間がありますが、中間報告として今取り組みたいことがあります。それは事業の前年比比較、つまり前年に比べて利益がどう変化したのかと、その原因を探ることです。

前年度比較のための準備

まず前年度比較の前に、確認すべきことがあります。当たり前ながら、レシートなどの仕訳入力が終わっている時期までしか比較できませんので、できるだけ最近の取引を、チェックしたい期間分まで登録を済ませておきましょう。

また入力そのものが間違っていると、正しい比較をすることができませんので、預金残高の金額が合っているかなど、最低限のチェックをしておきましょう。

宮﨑先生が実際に見た例だそうですが、売上が上がった時と入金があった時と、二重に登録していたために売上が二倍の数字になっていた帳簿があったそうです。途中経過の段階だと、大きく食い違っていても気付かずに数字だけを見てしまうかもしれません。

ただし、比較のためですから大まかな数字がわかればよく、神経質になりすぎる必要はありません。宮﨑先生によれば「9割くらい数字が合っていれば、十分に比較できます」とのことでした。

売上が減った原因は?

実際の比較の前に、ナツキさんに今年の予想を聞いてみると、「去年よりは売上が増えているはずです」という返事でした。

理由としては、コロナ禍で外出してはいけないという空気が薄れて、対面でお片付けサービスを提供する機会が増えたから、だそうです。しかし、実際の数字を比較してみると、意外なことに去年よりも5%ほど下がっていました。

「個人事業主やフリーランスの場合、本人の肌感覚と実際の売上が合っていないこともあるので、こうして定期的に数字で現状を把握することが大切です。たとえば仕事量は倍になって売上も増えたように錯覚しているのに、実際の売上はほとんど増えていなかった、というのもよくあるケースです」

「前年に比べて手間のかかる仕事が増えたのでは?」と尋ねる宮﨑先生に、ナツキさんは考えた末にこう答えました。

「去年はオンラインでのアドバイスが中心だったので、移動時間が必要ない上に、キャンセルもめったにありませんでした。でも対面サービスですと、家に行くまでの時間がかかりますし、お客様も都合によってリスケやキャンセルが多かったので、それが原因の一つかもしれません」

お客様の数が増えていても、よく数字を見ると利益が下がっているというのはよくあることです。また、業務時間が増えたのにもかかわらず、思ったより売上が増えなかった、というケースにも気を付けないといけません。

「個人事業主やフリーランスの方は、お客様からの頼みを断れず、ボランティアのような仕事を引き受けてしまうことがあります。お金にならない仕事で忙しくて、高単価の仕事が受けられないのは本末転倒ですから、「しなくてよい仕事」を断る勇気は必要です」と、宮﨑先生も自分の体験を振り返りながら、アドバイスしていました。

「断る」という点については、ナツキさんも今年からかなり意識し始めたと語っていました。事業を始めた当時は実績が欲しくて、妥協した金額で依頼を引き受けることもあったそうですが、今年から思い切ってサービスの単価を引き上げたそうです。

「「高すぎる」という理由で、お問い合わせから申し込みには至らないことも増えました。けれど、「安いから」という理由で選んでいただいた場合、それは私ではなくてもいいお客様で、接していて食い違いを感じてしまうことが多いんです。だから、私にぜひお願いしたいという方に全力で向き合って、喜んでいただきたいな、と思うようになりました」

新規事業に向けての挑戦

また、ナツキさんは今年の11月から、インテリアを学ぶオンラインスクールの開校を準備しています。開校期間は3か月間、主婦向けに「自分らしい空間を作る」ためのノウハウや、その空間を維持するための掃除・お片付け方法を教えていくそうです。

このオンラインスクール開校に至ったきっかけは、ナツキさんの娘さんが不登校気味になって、ナツキさんも悩んだ経験だそうです。お部屋作りという話題だと娘と気軽に話せることから、自分のインテリアにおける知識とその時の経験を共有することで、同じように悩んでいる方の力になれるのではないか、とナツキさんは考えました。

「不登校のことで公共の場所に相談に行くと、想像以上に深刻な話題になってしまって、気持ちも暗くなってしまうことがあって......。学校に必ずしも行かなければいけないとは限らないし、もっと明るく話せる場はないのかな? もしもないなら、私が作ろう! そう決心したんです」

ナツキさんのすごいところは、そう思い立ってからすぐに行動するパワーです。7月8月は夏休みの関係で家族行事が多いからか、お客様の依頼が少なかったため、その期間に開校の準備を着々と進めたそうです。

「私のことを知らない方が、3か月ものオンラインスクールに申し込むのはハードルが高いでしょうから、まずは私を知ってもらうために、無料のオンライン座談会やインスタライブも開いています」

そのナツキさんの説明を受けた宮﨑先生は、「そうやって新規事業の準備をしているのであれば、売上が増えていなくても構いません」とおっしゃっていました。

「企業と違って、個人事業主やフリーランスは必ずしも利益拡大を追求する必要はありません。ナツキさんがやりたいことに挑戦できて、自分らしく輝くこと、それが一番大切だと思います。必要最低限のお金が確保できていれば、やりたいことをやる、というスタンスで構いません」

まとめ

このように売上が下がっていても、その原因が明確になっている場合は、決して心配する必要はありません。ただし、宮﨑先生によると「利益が減っているのに理由がわからない」場合は危険だそうです。その場合は、予想以上に経費がかかっているのか、単価を安く設定しているからか、帳簿を確認して原因をつきとめて改善していきましょう。

折り返し地点を迎えた今回は、前年度比較について解説しました。たとえ売上が減っていても明確な理由があれば心配する必要はありません。ただし、「なぜ利益が減ったのか、またはなぜ増えたのか」を分析して、振り返ってみることが大切です。

次回は確定申告の方法でも特別に便利な電子申告、その準備や注意点についてお話しいたます。ぜひともご覧いただければ幸いです。

佐藤ナツキ「キュン♪から始まるお部屋ストーリー」

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