個人事業主の住民税はいくらから?年収・所得ごとの目安と非課税ラインをわかりやすく解説
個人事業主として開業したばかりの方や、副業を始めた方の中には、「住民税は年収いくらからかかるの?」「売上が少なくても住民税は払う必要がある?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
住民税は年収ではなく「所得」をもとに計算されるため、売上だけでは判断できません。また、非課税となる基準は自治体や扶養状況によって異なるため、一律に「年収○万円から住民税がかかる」とは言えないのが実情です。
この記事では、個人事業主の住民税が発生する目安や計算方法、住民税がかからないケースについて、初心者の方にもわかりやすく解説します。
| ▶︎この記事でわかること
・個人事業主の住民税がいくらから発生するのか |
目次
1. 住民税とは?
住民税とは、都道府県や市区町村が行政サービスを運営するために徴収する地方税のことです。
住民税は前年の所得をもとに計算されるため、令和7年中の所得に対する住民税は、令和8年度の住民税として課税されます。個人事業主の場合は会社員のような給与天引き(特別徴収)ではなく、自分で納付する「普通徴収」が一般的です。
住民税とは
住民税は、次の2つで構成されています。
- ・所得に応じて課税される「所得割」
- ・所得に関係なく定額で課税される「均等割」
また、令和6年度からは「森林環境税」もあわせて徴収されています。
これらの税金は、教育・福祉・道路整備・ごみ処理など、地域の公共サービスを支える財源として使われています。
個人事業主の住民税はいつ決まる?
住民税は前年の所得をもとに計算されます。
例えば、令和7年1月から12月までの所得を確定申告すると、その内容が自治体へ共有され、令和8年度の住民税額が決定されます。その後、多くの自治体では6月頃に納税通知書が送付され、住民税の納付が始まります。
年収と所得の違い
住民税について調べる際に混同しやすいのが、「年収」と「所得」の違いです。
個人事業主の場合、住民税は売上(年収)ではなく所得をもとに計算されます。
所得は次のように計算します。
(売上) − (必要経費) = (所得)
例えば、年間売上が300万円で必要経費が100万円だった場合、所得は200万円です。
住民税がかかるかどうかは、この所得金額をもとに判断されます。そのため、「年収300万円だから住民税がかかる」「年収100万円だから住民税はかからない」と単純に判断することはできません。
2. 個人事業主の住民税はいくらから発生する?非課税ラインの考え方
住民税には非課税制度が設けられており、所得が一定額以下の場合は住民税がかからないことがあります。この住民税の非課税ラインは自治体や扶養状況によって異なります。まずは住民税の非課税制度について確認してみましょう。
住民税の非課税制度とは
住民税には、所得が少ない方の負担を軽減するための非課税制度があります。
住民税は主に「所得割」と「均等割」で構成されていますが、所得が一定額以下の場合は、これらが非課税になるケースがあります。ただし、非課税となる基準は全国共通ではなく、自治体ごとに定められています。そのため、住民税がかかるかどうかを判断する際は、お住まいの自治体の基準を確認しましょう。
東京都を例にした住民税の非課税ライン
例えば東京23区内では、単身者の場合、合計所得金額が45万円以下であれば住民税が非課税となるケースがあります。また、扶養親族や配偶者がいる場合は、非課税となる所得の基準額が高くなり、以下の計算式で算出します。
〈東京23区内の場合〉
| 世帯状況 | 非課税判定の目安となる所得 |
| 単身者 | 45万円以下 |
| 配偶者・扶養親族あり | 35万円 × (本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数) + 31万円 以下 |
出典:東京都主税局「個人住民税」
※上記は東京都を例とした一般的な目安です。最新の基準や詳細な判定条件は、お住まいの自治体のホームページをご確認ください。
個人事業主が住民税非課税になるケース
個人事業主の場合、次のようなケースでは住民税が非課税となる可能性があります。
- ・開業したばかりで売上が少ない
- ・必要経費が多く所得が低い
- ・扶養親族がいる
- ・各種控除を適用した結果、課税所得が少ない
例えば、年間売上が100万円でも、経費が60万円かかっていれば所得は40万円です。この場合、単身者であれば東京都の非課税基準の範囲内となる可能性があります。
3. 個人事業主の住民税はいくらになる?計算シミュレーション
ここまで解説したように、個人事業主の住民税は年収(売上)ではなく所得をもとに計算されます。そのため、「年収300万円なら住民税はいくら」と一律に決まるわけではありません。
ここでは、東京都在住・単身者を例に、住民税の考え方をシミュレーション形式で見てみましょう。
※実際の税額は自治体や扶養状況、各種控除によって異なります。
シミュレーション① 年収100万円・経費60万円の場合
まずは、開業したばかりの個人事業主を想定してみます。
| 項目 | 金額 |
| 年収(売上) | 100万円 |
| 必要経費 | 60万円 |
| 所得 | 40万円 |
所得は40万円となります。
東京都の単身者の非課税基準の目安である45万円以下に該当し、住民税が非課税となる可能性があります。
シミュレーション② 年収300万円・経費100万円の場合
次に、ある程度事業が軌道に乗ったケースを見てみましょう。
| 項目 | 金額 |
| 年収(売上) | 300万円 |
| 必要経費 | 100万円 |
| 所得 | 200万円 |
所得は200万円となります。
ここから基礎控除や社会保険料控除などを差し引いて課税所得が計算されるため、最終的な住民税額は人によって異なります。
ただし、所得が非課税ラインを大きく超えているため、住民税が発生する可能性は高いと考えられます。
シミュレーション③ 年収500万円・経費150万円の場合
さらに売上が増えたケースです。
| 項目 | 金額 |
| 年収(売上) | 500万円 |
| 必要経費 | 150万円 |
| 所得 | 350万円 |
所得は350万円となります。
この場合も、所得控除を差し引いたうえで住民税額が計算されますが、一般的には住民税が発生すると考えられます。
同じ年収でも住民税額が変わる理由
個人事業主の住民税は所得によって決まるため、同じ年収でも経費の金額によって税負担が変わります。
例えば、どちらも年収300万円だった場合でも、次のような違いがあります。
| Aさん | Bさん | |
| 年収(売上) | 300万円 | 300万円 |
| 必要経費 | 50万円 | 150万円 |
| 所得 | 250万円 | 150万円 |
| 住民税 | 高くなる傾向 | 低くなる傾向 |
このように、年収が同じでも経費の計上状況によって所得は大きく変わります。
住民税を正しく計算するためには経費管理が重要
何度も言うように、個人事業主の住民税は、売上ではなく所得をもとに計算されます。
そのため、必要経費を計上し忘れてしまうと、本来より所得が高くなり、住民税の負担も増えてしまう可能性があります。
例えば、仕事で使用した通信費や交通費、消耗品費などが経費になるにもかかわらず計上していなかった場合、その分だけ所得が増えてしまいます。
住民税を適切に計算するためには、日頃からレシートや領収書を保管し、売上と経費を正しく記録することが大切です。特に開業したばかりの方は、経費の計上漏れが起こりやすいため、早い段階から帳簿付けの習慣をつけておくと安心です。
4. 個人事業主の住民税の計算方法
住民税は自治体が計算するため、自分で税額を計算する機会はあまりありません。
しかし、どのような仕組みで住民税が決まるのかを知っておくと、「なぜこの税額になったのか」を理解しやすくなります。
個人事業主の住民税は、基本的に次の流れで計算されます。
住民税が計算される流れ
住民税は次の順番で計算されます。
- 1. 売上から必要経費を差し引き、所得を算出する
- 2. 所得控除を差し引く
- 3. 課税所得を計算する
- 4. 所得割を計算する
- 5. 均等割・森林環境税を加算する
所得控除とは
所得控除とは、個人の事情を考慮して所得から差し引ける制度です。代表的な所得控除には次のようなものがあります。
- ・基礎控除
- ・社会保険料控除
- ・扶養控除
- ・配偶者控除
- ・生命保険料控除
- ・地震保険料控除
- ・医療費控除
所得控除が多いほど課税対象となる所得が少なくなるため、住民税の負担も軽くなる可能性があります。
所得割とは
所得割とは、課税所得に応じて課税される住民税です。
一般的には課税所得に対して一定の税率を掛けて計算されるため、所得が高いほど税額も大きくなります。
住民税の多くは、この所得割によって決まります。
均等割とは
均等割とは、所得の多い少ないにかかわらず一定額が課税される部分です。
また、令和6年度以降は森林環境税もあわせて課税されています。
ただし、前章で紹介した非課税基準に該当する場合は、均等割も非課税となるケースがあります。
住民税の計算例
例えば、次のようなケースを考えてみましょう。
| 項目 | 金額 |
| 売上 | 300万円 |
| 必要経費 | 100万円 |
| 所得 | 200万円 |
| 所得控除 | 60万円 |
| 課税所得 | 140万円 |
この場合、課税所得である140万円をもとに所得割が計算され、さらに均等割などが加算されて最終的な住民税額が決まります。実際の税額は自治体や適用される控除によって異なるため、あくまで計算の流れを理解するための例として考えてください。
住民税を抑えるためにできること
住民税を不当に減らすことはできませんが、正しく申告することで必要以上の税負担を防ぎ、節税につながります。
特に個人事業主の場合は、次のようなポイントが重要です。
- ・必要経費を漏れなく計上する
- ・青色申告特別控除を活用する
- ・社会保険料控除を申告する
- ・各種所得控除を忘れずに申告する
- ・日頃から帳簿を整理しておく
注意:住民税は確定申告の内容をもとに決まる
個人事業主の住民税は、確定申告で申告した所得をもとに自治体が計算します。
そのため、売上の計上漏れや経費の入力ミスがあると、住民税額にも影響する可能性があります。確定申告を行う際は、日頃から帳簿を整え、正確な所得を把握しておくことが大切です。
確定申告や住民税の計算が不安な方へ
個人事業主の住民税は、確定申告で申告した所得をもとに計算されます。
そのため、日頃から売上や経費を記録し、正確な所得を把握しておくことが大切です。
「経費管理が苦手」「確定申告を簡単に済ませたい」という方は、スマホで申告書作成からe-Taxによる提出まで行える確定申告FinFinを活用してみてはいかがでしょうか。
よくある質問(FAQ)
Q. 個人事業主の住民税は年収いくらからかかりますか?
個人事業主の住民税は、年収(売上)ではなく所得をもとに判定されます。
所得とは、売上から必要経費を差し引いた金額です。住民税の非課税基準は自治体や扶養状況によって異なるため、「年収○万円から住民税がかかる」と一律には言えません。
Q. 個人事業主で住民税が非課税になるのはいくらまでですか?
住民税の非課税ラインは自治体によって異なります。
例えば東京都では、単身者の場合、合計所得金額45万円以下で住民税が非課税となるケースがあります。ただし、扶養親族の有無などによって基準は変わるため、詳しくはお住まいの自治体のホームページをご確認ください。
Q. 所得税がかからなくても住民税はかかりますか?
はい、かかる場合があります。所得税と住民税では控除額や非課税基準が異なるため、所得税が発生しなくても住民税が課税されるケースがあります。
Q. 赤字でも住民税はかかりますか?
事業所得が赤字の場合、所得割は発生しないことが一般的です。ただし、住民税の均等割については自治体や所得状況によって課税される場合があります。実際の取扱いは自治体の案内をご確認ください。
Q. 住民税はいつ支払うのですか?
住民税は前年の所得をもとに計算され、翌年6月頃から納付が始まります。個人事業主の場合は、自治体から送付される納税通知書に従って納付する「普通徴収」が一般的です。
まとめ(3行要約)
- ・個人事業主の住民税は、年収(売上)ではなく「所得」をもとに計算されます。
- ・住民税がかかるかどうかは、自治体の非課税基準や扶養状況によって異なります。
- ・正確な住民税額を把握するためには、日頃から売上や経費を記録し、適切に確定申告を行うことが大切です。








