会計は何の役に立つ?事業の発展にもつながる会計を管理することの意味

会計は何の役に立つ?事業の発展にもつながる会計を管理することの意味

「会計」とは、広義の意味で「事業におけるお金の流れを把握すること」です。個人事業者が会計を行うのには「確定申告をするため」という具体的な目的があるからですが、会計が役立つことはほかにもたくさんあります。「事業の発展にもかかわる」と言って過言ではありません。

ではどのようなメリットがあるのか、改めて考えてみましょう。

会計を管理することのメリット

1.利益が把握できる会計を適切に管理すると、事業における「利益」を把握することができます。利益は売上から諸経費などを差し引いたものであり、「どれくらい売上が出ているか」と「どれくらいの経費が使われているか」の両方を把握しなければ、正しく算出できません。売上が少なすぎたり経費が嵩みすぎたりすれば利益は出にくくなりますが、会計を行わなければその具体的な原因も見えてこないのです。

会計上の利益は税務上の所得につながるものであり、これは確定申告で明確になりますが、所得を知るのが年に1度だけになってしまうと月々の調整が難しくなります。できる限りこまめな管理が理想的です。多くの支払いや請求は月単位で行われるものですので、可能であれば月末などに売上と経費を算出し、利益を把握するようにしましょう。

利益を把握することで、事業がどのように展開しているかが可視化できます。「売上が多いので油断していたが、経費が多かったので実は利益は少なかった」といったことも、わかってくるでしょう。

2.経営改善がしやすくなる会計を行うことで、事業の経営改善もしやすくなります。先ほど触れたように「実は......」といった面が可視化され、問題点も浮き彫りになるでしょう。利益が少ない場合には、「新たな取引先を探すことに注力しよう」などと考えられます。

また、経費が多い場合には、「経費を節約しよう」と考えられ、また、どのような部分で経費を使いすぎているのかの分析もできます。経費削減もまずはどれだけ経費を使っているかの把握が重要なのです。いわゆる「コスト意識」を高く持つことができ、堅実な経営を目指しやすくなります。

3.トラブルを乗り越える対策を講じることができるなにかしらの理由で通常通りの働き方ができなくなったとき、「自分や家族のために最低限の収入を得るにはどうしたらいいか」といったことも、会計を把握していることでより一層考えやすくなります。

事業のなかで効率的に収入を得ていたのはどの部分であるかが把握できているため、「最低限の働きで最大の稼ぎを得るにはどんな方法があるか」などの対策も立てやすいでしょう。

4.新規案件を引き受けるときや、新たなビジネスを立ち上げるときの予測がつくある程度自分の事業の会計を長く把握することで、新規案件を引き受けるときや、新たなビジネスを立ち上げるときにも、事業経営の予測をしやすくなります。「このタイプの案件ではこのくらいの利益を見込むことができる」「このくらいの資金があるとやりやすいはずだ」といったことがわかれば、新規案件や新しいビジネスの成功率も上がるでしょう。

これは、継続的に会計を行うことで「経営に関する学習」ができるためです。会計は決して金額を把握することだけでないのがわかります。

また、新たな取引先が発生し、見積りを作成する際や提示された報酬を分析する際にも、スムーズに対応することができます。過去の仕事に対する評価ができているからです。「徐々に利益を増やしていく」という目標を立て、自分に有利な取引を目指していきましょう。

5.短時間で正しい確定申告ができ、さらに節税もできる冒頭でも触れたように、会計を行う大きな目的のひとつは確定申告ですが、ある程度の会計を行っていると、確定申告に費やす時間を大きく短縮することができます。

毎月決算を行っておけば、確定申告ではそのまとめと年単位の数字を入力するだけで済みます。また、当然のことですが会計処理に慣れてくることによるスピードアップも期待できるでしょう。

確定申告を行う段階で「もっと経費を使ってもよかった」とわかっても、遡っての節税はできません。一方、より早い段階で年間の利益が算出できれば、必要な備品の購入を前倒しして経費計上したり、ふるさと納税を多く行ったりするなどして、節税対策を強化することも可能です。

6.融資を受ける際に有利金融機関に融資を受ける際には、必ず決算書の提出が必要です。青色申告を行っている事業者であれば決算書の提出は可能ですが、不明点や指摘に対し対応ができなければ信頼を得ることはできません。会計をすることで確定申告書や決算書の理解も進み、こういったシーンにも有利になると考えましょう。

7.給付金や補助金の申し込みをスムーズに行うことができる事業を継続する上でさまざまな給付金や補助金を行政などに申請する機会がありますが、必ず現在、あるいは過去の財務状況を報告する必要があります。たとえば、コロナ禍における補助金・給付金のなかにも、前年のある月の売上とその年の同じ月の売上を比較しなければならないものがありました。

こういったときにも、会計を行っていると必要な情報が簡単に算出でき、給付金や補助金の申し込みをスムーズに行うことができます。早く申請したほうが早く給付されるのはよくあることですし、多くの場合行政の予算分の申請があれば受け付けは終了してしまいます。スピーディな申請は、事業存続のチャンスとなる重要なことだと考えましょう。

8.無理をすることなく、事業を長く続けることができる会社員と比べて保障が少ない個人事業主には、「稼げれば稼げるだけ働きたい」と考える人も少なくないと考えられます。しかし、月々の売上と家計を鑑みて「これくらい稼いでおけば問題ない」といった数字が明確であれば、仕事の調整がしやすくなります。

第一に心のゆとりが生まれますし、「少しペースを落として働いても大丈夫」となれば、売上に直結しないことにも時間をさくことができます。事務所の整理や新たなジャンルの勉強、もちろん、健康診断や趣味に興じてのリフレッシュなども重要です。これらは事業を長く続けていくために必要なことでもあると考えましょう。また、経費に余裕が出ることがわかれば、新たな機器を導入するなどして、業務効率を上げることもできます。



会計を行えば経営感覚が磨かれ、経営を有利にできる

会計を適切に行うことで、利益を知ること以外にも、さまざまなメリットを享受することができます。継続して行うことで経営感覚が磨かれ、経営を有利にする考え方や発想が身に着くのです。スピードを求められる会計関連の事柄にも対応できます。長い目で見れば、事業の発展につながることがご理解いただけると思います。


会計処理は月々の処理が理想ですので、ぜひ自分にとって使いやすいアプリやソフトを選び、できるだけ負担にならないような方法を追求しましょう。

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記事監修者紹介  佐伯裕先生広尾税理士法人 税理士
佐伯裕先生 広尾税理士法人

横浜市出身。KPMG税理士法人で上場企業や投資ファンド等の申告業務、 M&Aアドバイザリー業務を経験したのち平成30年に東京で独立開業、令和3年に法人成り。 税コスト削減を視野に入れた中小企業の税務支援や事務負担軽減をサポート。会計バンクのFinタメ・マガジンの税務記事監修に関与。