変動費と固定費ってなんだろう?その見分け方、使い方を覚えよう!

変動費と固定費ってなんだろう?その見分け方、使い方を覚えよう!

事業を行う上で必要な出費を「経費」と呼びますが、経費もさらに分類して考える必要があり、なかでも「変動費」と「固定費」についてはきちんと把握しておくべきものと言えます。「お金の流れを把握し、事業をよりスムーズに進めるため」なのですが、なぜこのような経費の分析が重要になるのでしょうか。記事のなかで詳しくご説明します。

1.「変動費」「固定費」ってなに?

まず、「変動費」と「固定費」、それぞれの意味を把握しましょう。なお、このように経費を分類して考えることを「固変分解」と呼びます。経費のすべてを完全に分類することはできませんが、ある程度の把握ができれば問題ありません。

変動費 「変動費」とは、売上の変動に比例して増減する経費のことを指します。売上が変動するということは、商品・サービスの生産量や販売量が変動するということであり、これらのコストも変わるものです。なお、変動費は「可変費」ということもあります。

【変動費の例】
・人件費のうちの変動要因(臨時スタッフの給与や社員の残業手当など)
・原材料費
・仕入原価
・外注費
・販売手数料
・車両燃料費
・支払運賃
・突発的な広告の広告宣伝費


固定費 「固定費」とは、売上に比例して変動する経費に対し、売上に比例せず、どのような売上でも一定にかかる経費のことをいいます。固定費は「不変費」とも呼ばれます。

【固定費の例】
・人件費のうちの固定要因(社員の基本給、福利厚生費、交通費など)
・地代家賃、水道光熱費
・減価償却費
・リース料など
・求人広告

2.固定費と変動費を分ける理由は?

固定費と変動費を分ける「固変分解」を行う理由は、以下の3点が考えられます。

・経費を把握しやすくし、より現実的な利益の予測を行うため
・それぞれに適した効率的な経費削減を行うため(固定費と変動費は削減の仕方が異なる)
・事業を行う上で重要な指標である「限界利益」と「損益分岐点」を知るため

「限界利益」と「損益分岐点」については非常に重要な考え方であるため、しっかり覚えておきましょう。

限界利益とは売上から変動費を差し引いた金額を、「限界利益」と呼びます。変動費をもっともシンプルに考えると、「原材料費」となります。そのため、例えば500円の商品の原材料費が300円であった場合、限界利益は200円です。限界利益がマイナスでなければ、変動費に限って「赤字」ではないということになります。

売上500円 - 原材料費(変動費)300円 = 限界利益200円


なお、「限界利益÷売上高」で求められる数値は「限界利益率」と呼びます。上記の例で計算すると、下記のようになります。

限界利益200円 ÷ 売上高500円 = 限界利益率60%


限界利益率が大きいほど、利益を生み出す力が大きく、事業を継続できる可能性が高いと判断することが可能です。

ただし、限界利益や限界利益率は「稼働費」についての考え方であり、これに加えて固定費についても考えていかなければなりません。そこで重要な指標が、損益分岐点となります。

損益分岐点とは「損益分岐点」とは、限界利益から固定費を差し引いて0になる点のことをいいます。これは、変動費と固定費を含めての「黒字か赤字かの境目」であり、黒字であれば事業を続けることが可能な範囲であると考えられます。

損益分岐点

損益分岐点の計算式
損益分岐点 = 固定費 ÷ 限界利益率


損益分岐点を知ることで、利益を出すために必要な売上を算出することができます。また、売上を出せないとしても、固定費や変動費を小さくして損益分岐点を下げる対策も取れるでしょう。

3.固定費と変動費を削減するときのポイントとは?

固定費と変動費を削減するためにはどうしたらいいのか考えてみましょう。

変動費の削減方法・仕入を工夫し、原材料費を削減する
(仕入先との価格交渉、仕入先や外注先の再選定)
・在庫に関する経費を削減する
(在庫維持・管理にかかる費用の削減、在庫そのものを減らす工夫)
・日々の業務における経費削減を行う
(事務用品や消耗品にかかる経費の削減、運送にかかる費用の削減、ペーパーレス化など)

固定費の削減方法・固定費となる人件費の削減を考える(無駄な人員を減らす・アウトソーシングを増やす)
・光熱費の節約を行う
・オフィスの規模を小さくする、シェアオフィスなどの利用を考える
・さまざまな手続きの手数料削減を考える

以上のような経費の節約を行い、少しでも利益を大きくしていきましょう。ただし、仕入先に対する無理な価格交渉や外注先の急な変更は、クオリティ低下やトラブルにつながってしまう恐れがあるため注意が必要です。金額そのものを減らすことだけでなく、時間対効果を高める方法の模索も検討の余地があります。例えば、オンライン会議システムの活用による移動時間の削減や、ペーパーレス化による事務作業の時間短縮も有効と言えます。

まとめ

経費における変動費と固定費を把握する固変分解を行うことは、事業を継続させていくためにも必要なことです。フリーランスとして仕事をしていると、なかなかこのような分析を行う時間もないかもしれませんが、利益を大きくすることにも繋がりますので、できるだけ意識するようにしましょう。

なお、経費の削減は非常に重要ですが、ある程度の経費を使ってこそ売上を伸ばせるものでもあります。しっかりと状況を見つつ、経費の削減で損益分岐点を上げるよりも、売上を上げていくことを重視していきたいものです。

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記事監修者紹介 久保佑紀先生久保佑紀税理士事務所 税理士
久保佑紀先生 久保佑紀税理士事務所

通信会社でシステムエンジニアとして働くが、結婚を機に退職。その後約10年間、中小企業の経理職や税理士事務所で働き、2023年に個人税理士事務所を立ち上げる。税務業務を中心にお客様のサポートをしながら、2 人の娘を育てるママ税理士。