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固定資産の「取得日」と「事業供用開始日」の違いをチェック!

固定資産の「取得日」と「事業供用開始日」の違いをチェック!

固定資産税とは、固定資産と呼ばれる財産に課せられる税金のことをいいます。事業に関わる固定資産税の負担は大きくなりがちであり、また、「減価償却」といった考え方も必要になるため、注意が必要です。この記事では、固定資産税とはどういったものかと、減価償却の際に確認が必要な「取得日」と「事業供用開始日」の違いについてご説明します。

1.固定資産税とは?

住宅地や農地などの土地、住宅や店舗、工場、その他公的な施設などの建物、工場のなかで利用される機械、会社の備品などの「償却資産」と呼ばれるものを、総称して「固定資産」といいます。また、固定資産のうち、土地や家屋以外の事業に利用することができる資産を、「償却資産」と呼びます。

固定資産の種類
土地 田んぼ、畑、住宅地、池沼、山林、鉱泉地(温泉など)、牧場、原野などの土地
家屋 住宅、お店、工場(発電所や変電所を含む)、倉庫などの建物
償却資産 会社等(事業者)が所有する構築物(広告塔やフェンスなど)、飛行機、船、車両や運搬具(鉄道やトロッコなど)、備品(パソコンや工具など)など

参考:総務省「固定資産税」

これらの固定資産にかかる税金を、「固定資産税」と呼びます。固定資産税は固定資産の価値によって定められており、所有者である個人・法人は、その固定資産がある市町村に市町村税として納める必要があります。なお、東京都23区内に限っては、東京に対する都税となります。

2.減価償却とは?

固定資産の多くは、時間の経過とともに価値が減少します。それらの資産は「減価償却資産」と呼ばれ、購入費用は原則として一度にまとめて経費計上できず、使用可能な期間(年数)に分割して計上しなければなりません。この会計処理のことを「減価償却」と言います。減価償却という手続きにより、適正に計算した「減価償却費」を毎期の経費に計上することができます。

建物、施設や備品などの「有形固定資産」だけでなく、ソフトウェアや特許権などの「無形固定資産」も減価償却をすることができる固定資産に含みます。また、使用可能期間は1年以上、取得価額が10万円以上のものが対象となります。なお、土地は減価償却を行いません。時間が経過しても価値が減らないという土地の性質に即した考え方になります。

3.減価償却費の会計処理

減価償却には「定額法」と「定率法」という2つの方法があります。なお、その固定資産を通常の用途・用法で使用できる期間(年数)のことを「耐用年数」といいます。耐用年数は国税庁ホームページで確認すると正確です。

国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

定額法

毎年同額の減価償却費を計上する計算方法です。具体的な計算方法は、減価償却資産の金額に一定の割合を掛けて減価償却費を計算します。割合は資産の耐用年数によって決められており、これについても国税庁のホームページを参照することで確認できます。取得した年によって割合は異なります。

国税庁「減価償却資産の償却率等表」

計算式
減価償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率

 

定額法の場合、毎年割合は同じであり、金額も同じになります(最後の年のみ、「備忘価額」として1円、10円などを計上する必要があります。無形固定資産の場合は不要です)。

定額法は計算が簡単で、それがメリットであるとも言えますが、この次に説明する定率法に比べると、購入年に大きな節税を期待することができません。

定率法

その年における未償却残高に、一定の割合を掛けて減価償却費を算出し、計上していく方法です。年数を経ると未償却残高は減ります。また、算出した金額が「償却保証額」を下回るタイミングで計算方法を変える必要があります。

計算式
減価償却費 = 未償却残高 × 定率法の償却率

 

計算の結果、償却保証額以下になった場合

減価償却費 = 改定取得価額 × 改定償却率

 

※償却保証額…資産の取得価額に、当該資産の耐用年数に応じた保証率を乗じて計算

参考:国税庁「減価償却資産の償却率等表」
償却率、改定償却率、保証率ともに表示されています。

定率法を行う場合には届出が必要であり、定額法に比べると計算が難しいというデメリットがあります(法人の場合を除く)。ただし、初年度に大きな節税を期待することができ、これを狙っての資産購入を行うことなどで、事業を有利に進めることができます。

4. 減価償却は「取得日」でなく「事業供用開始日」から

減価償却においては「いつから計算を始めるか」が重要になりますが、その数え始めは固定資産を引き渡された日である「取得日」ではなく、「事業供用開始日」からとなります。事業供用開始日とは、「本来の目的のために資産を使い始めた日」のことですので、設置しただけの場合や、試運転を行った日については該当しません。「取得日」と「事業供用開始日」が異なる場合には注意してください。

こちらに「軽自動車を固定資産として登録した日」の例があります。併せてご確認ください。

なお、決算月に取得・使用を開始したにもかかわらず、事業供用開始日は翌事業年度であると判断された事例があります。大きな設備投資を行う場合には税理士などに話を通し、確認するようにしましょう。

まとめ

以上のように、固定資産税の扱いには注意が必要です。大きな設備投資をする際には節税にも役立てることができますので、取得日や事業供用開始日についてはしっかりと確認するようにしましょう。

なお、フリーランスの場合は毎年支払うことになる住宅の固定資産税が気になるところかもしれません。こちらについてはご存じの通り振り込み用紙が発送されてきますので、支払いを忘れないようにしましょう。

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記事監修者紹介

久保佑紀税理士事務所 税理士
久保佑紀先生 久保佑紀税理士事務所

通信会社でシステムエンジニアとして働くが、結婚を機に退職。その後約10年間、中小企業の経理職や税理士事務所で働き、2023年に個人税理士事務所を立ち上げる。税務業務を中心にお客様のサポートをしながら、2 人の娘を育てるママ税理士。