自家消費(家事消費)になる場合、ならない場合を仕訳の具体例と一緒に解説!

自家消費(家事消費)になる場合、ならない場合を仕訳の具体例と一緒に解説!

「自家消費」は、個人事業主が商品を自宅で消費したり、自分自身の都合で友人に贈与したりしたときなどに利用する勘定科目です。自分や家族は「お客様」とは見なされず、そのため実際の「儲け」にはならないものの、会計上は「売上」として考えなければなりません。どういうことなのか、詳しく見ていきましょう。

1. 自家消費(家事消費)とは

「お店で売っていたお弁当の残りを家に持ち帰り、家族で食べた」「商品として販売しているアクセサリーを友達にプレゼントした」といったときに使うのが、「自家消費」という勘定科目です。そもそも販売することを目的だったものを、自分や家族のために使うことをいいます。

会計上は「自分から自分にお金を払うこと」になり、実際的な儲けにはなりません。しかし、仕入れた材料はすべて経費処理しているはずなので、釣り合うだけの売上もしているはずであり、その行方までをきちんと処理する必要があります。自家消費で計上しなかった場合は経費だけを計上することになり、いわゆる脱税とみなされるリスクもありますので、しっかり計上しましょう。

2.自家消費になる例・ならない例

では、どんな例が自家消費になるでしょうか。既に登場した例以外で見てみましょう。

自家消費に該当する例

・レストランのオーナーが自分の店の料理を食べた
・商品として販売していた衣類を家族にプレゼントした
・友人に商品を定価の半額で販売した
・仕事で使っていた古いパソコン(10万円未満)を友人に無償で譲った

友人に商品を定価の半額で販売してお金を受け取った場合、定価の半額は売上、もう半額は自家消費として計上します。パソコンについては中古価格(時価)で計上しましょう。なお、10万円以上のパソコンは「減価償却資産」ですので、自家消費で計上することはできません。

自家消費に該当しない例(個人事業の場合)

・マッサージ師が友人に無料でマッサージをしてあげた
自家消費で計上できるのは、棚卸資産となる商品や材料のみです。そのため、「サービス」については無料であっても、会計上必要な処理はありません。ただし、マッサージの際にマッサージクリームなどを使うと、マッサージクリーム分だけの自家消費計上が必要になります。大工である家族が、自分たちが住む家を建てた場合などについても同様で、材料費だけが自家消費に該当します。

・事業車をプライベートで利用した
自動車は固定資産です。固定資産の使用も厳密に言えば自家商品の対象になるのですが、事業利用と家事利用の境界線がはっきりしないものについては対象外として考える、という規定があります。そのため、「自家消費に該当しない」と考えていいでしょう。

3.自家消費の計算方法

自家消費はパソコンなどが時価であるのを除き、「定価」での計上を行います。また、所得税法に基づき、「仕入額以上の金額」あるいは「定価の70%に相当する額」の高い方を選択することも可能です。いわば「売上にならない売上」なので金額は小さいほうがよく、定価での計上はおすすめできません。自家消費による利益は圧縮したほうがいいのです。

【仕訳の例】

・仕入価格1,000円、自分の店では定価1,500円で販売している商品を友達にプレゼントした
①「仕入価格1,000円」と、②「定価の70%=1,050円」では、②の方が高いため1,050円で自家消費を計算します。定価1,500円で計算するより有利です。科目は「事業主貸」で処理します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
事業主借 1,050円 自家消費 1,050円

・購入金額9万円のパソコンを友人に無償で譲った
パソコンは時価で計算するため、購入金額は「10万円未満である」点のみ留意します。時価は中古パソコンショップなどのサイトで調べましょう。科目は雑収入です。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 40,000円 雑収入 40,000円

ただし、パソコンは法定耐用年数が「4年」とされており、4年をすぎて利用した場合の時価は0円となります。その場合、計上する必要はありません。

・仕入価格5,000円、自分の店では定価7,000円で販売している商品を、友人に定価の50%である3,500円で販売した
仕入価格と定価の70%(4,900円)を比較し、金額が大きい仕入価格5,000円を家事消費として計上します。売上と自家消費の差額(5,000円-3,500円=1,500円)を事業主貸とします。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 3,500円 売上 3,500円
事業主借 1,500円 自家消費 1,500円
まとめ

サービス業など、職種によっては自家消費がまったく発生しない場合もありますが、飲食業や小売業については自家消費が発生することも多くなります。売上であって売上に繋がらないという少し残念な科目ですが、しっかりと計算して税務署の指摘などを受けないようにしましょう。個人事業主は家事と事業とのお金を明確にすることがとても重要です。計算方法の選択によっては金額を圧縮でき、節税にも繋がります。普段から意識しておきたいものですね。

記事監修者紹介 久保佑紀先生久保佑紀税理士事務所 税理士
久保佑紀先生 久保佑紀税理士事務所

通信会社でシステムエンジニアとして働くが、結婚を機に退職。その後約10年間、中小企業の経理職や税理士事務所で働き、2023年に個人税理士事務所を立ち上げる。税務業務を中心にお客様のサポートをしながら、2 人の娘を育てるママ税理士。