仮想通貨(暗号資産)で利益が出た場合、確定申告が必要になることがあります。税金は売却時だけでなく、他の仮想通貨への交換や決済利用などでも発生する場合があるため、正しいルールを理解しておくことが大切です。
この記事では、仮想通貨の利益に税金がかかるケース、確定申告が必要となる条件、所得の計算方法、申告手順、注意点について、国税庁の公表情報をもとにわかりやすく解説します。
※2020年より法令や公的機関では「暗号資産」という名称が使用されています。本記事では、一般的に広く使われている「仮想通貨」という表現を使用していますが、いずれも同じものを指します。
| ▶︎この記事でわかること
・仮想通貨(暗号資産)の利益に税金がかかるケース |
目次
1.仮想通貨(暗号資産)とは
仮想通貨(暗号資産)とは、ビットコインやイーサリアムなどに代表される、インターネット上で売買や送金ができるデジタル資産のことです。
近年は投資対象として利用されることが増えていますが、利益が出た場合には税金がかかることがあります。そのため、仮想通貨取引をしている人は、確定申告が必要になるケースについて理解しておくことが大切です。
2.仮想通貨の利益は原則「雑所得」
仮想通貨取引で生じた利益は、原則として「雑所得」に区分されます。雑所得は、給与所得や事業所得などと合算して税額を計算する「総合課税」の対象です。
たとえば、会社員が副業的にビットコインを売買して利益を得た場合、その利益は多くのケースで雑所得として扱われます。
ただし、取引の規模や継続性、帳簿書類の保存状況などによっては、事業所得など別の所得区分になる可能性もあります。特に取引規模が大きい場合や、暗号資産取引を事業として行っている場合は、個別判断が必要です。
【注意】
仮想通貨の利益は、原則として給与所得など他の所得と合算して税額が計算されます。一方で、株式投資やFXは異なる課税方式が適用される場合があります。同じ投資による利益でも税金の計算方法が異なるため、混同しないよう注意しましょう。
3.確定申告が必要になる主なケース
仮想通貨(暗号資産)で利益が出た場合でも、すべての人が確定申告をしなければならないわけではありません。確定申告が必要かどうかは、所得金額や職業、他の所得の有無などによって異なります。
ここでは、仮想通貨取引をしている人が確定申告を検討すべき主なケースを紹介します。
会社員で仮想通貨の利益がある場合
会社員で勤務先の年末調整を受けている場合、仮想通貨による所得を含む給与所得以外の所得の合計額が年間20万円を超えると、原則として確定申告が必要になります。
仮想通貨の売買による利益や、仮想通貨を保有・運用して受け取った報酬なども対象となるため、年間の所得金額を確認しておきましょう。
なお、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。
会社員の住民税申告の要否については、「Finタメ・マガジン|副業サラリーマン必見!年末調整・確定申告・住民税の申告を徹底解説」で解説しています。
個人事業主やフリーランスの場合
個人事業主やフリーランスは、事業所得に加えて仮想通貨取引による所得がある場合、その所得も含めて確定申告を行います。仮想通貨の売買による利益や、仮想通貨を保有・運用して受け取った報酬などがある場合は、事業所得とは別に所得金額を計算し、確定申告書へ反映します。
なお、確定申告が必要かどうかは、仮想通貨の所得だけでなく、事業所得を含めた年間の所得状況によって異なります。
確定申告が不要となる場合もある
仮想通貨を保有しているだけで売却や交換をしていない場合は、原則として所得は発生しません。
また、会社員などで年末調整を受けている人は、仮想通貨による所得を含む給与所得以外の所得が年間20万円以下の場合、所得税の確定申告が不要となることがあります。ただし、医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税など)の適用を受けるために確定申告を行う場合は、20万円以下の仮想通貨所得であっても申告が必要です。
なお、所得税の確定申告が不要となる場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。詳しくはお住まいの自治体へ確認しましょう。
株式投資や仮想通貨の利益が出た場合、「そもそも確定申告が必要なのか知りたい」という方は、こちらの記事も参考にしてください。
Finタメ・マガジン|【iDeCo・NISA・株・FX・仮想通貨】どの投資で確定申告が必要?それぞれをわかりやすく解説!
4.仮想通貨で利益が発生するタイミング
仮想通貨の税金を考えるうえで重要なのが、「いつ利益が発生したとみなされるのか」という点です。
仮想通貨による利益とは、購入したときよりも価値が上がった状態で売却したり、利用したりすることで得られる差額のことをいいます。そのため、単に仮想通貨を保有しているだけでは、原則として税金は発生しません。一方で、売却や交換などを行うと所得が発生し、課税対象となる場合があります。
ここでは、仮想通貨で利益が発生する主なケースを紹介します。
仮想通貨を売却した場合
購入時より高い価格で仮想通貨を売却した場合、その差額が利益となります。
例えば、10万円で購入したビットコインを30万円で売却した場合、差額の20万円が所得計算の対象となります。
仮想通貨同士を交換した場合
ビットコインをイーサリアムへ交換するなど、仮想通貨同士の交換も課税対象となる場合があります。
「日本円に換金していないから税金はかからない」と思われがちですが、交換時点で利益が確定したとみなされるため注意が必要です。
仮想通貨で商品やサービスを購入した場合
仮想通貨を利用して商品やサービスの代金を支払った場合も、課税対象となることがあります。
購入時より価値が上昇した仮想通貨を使った場合、その差額が利益として扱われる可能性があります。
仮想通貨を保有・運用して報酬を受け取った場合
仮想通貨を保有・運用することで受け取った報酬も、所得となる場合があります。受け取った時点の価額をもとに所得金額を計算するケースが一般的です。
【注意】
仮想通貨の税金は「日本円に換金したときだけ発生する」と誤解されがちですが、実際には交換や決済利用などでも課税対象となる場合があります。取引履歴はできるだけ保存しておきましょう。
5.仮想通貨の所得(利益)の計算方法
仮想通貨(暗号資産)の確定申告では、売却金額のすべてに税金がかかるわけではありません。課税対象となるのは、売却などによって得た「利益(所得)」です。
まずは、所得の計算方法を理解しておきましょう。
仮想通貨の所得計算の基本
仮想通貨の所得は、次のように計算します。
(所得金額) = (売却金額) − (取得価額) − (必要経費)
例えば、10万円で購入したビットコインを30万円で売却し、手数料が1万円かかった場合は、次のようになります。
- ・売却金額:30万円
- ・取得価額:10万円
- ・手数料:1万円
所得金額 = 30万円 − 10万円 − 1万円 = 19万円
この場合、19万円が所得として課税対象となります。
取得価額とは?
取得価額とは、仮想通貨を購入したときの金額のことです。
例えば、ビットコインを10万円で購入した場合、その10万円が取得価額となります。
ただし、複数回に分けて購入している場合は計算が複雑になります。
例えば、
- ・1回目:10万円分購入
- ・2回目:20万円分購入
- ・3回目:15万円分購入
というように複数回購入している場合は、国税庁が定める方法に従って取得価額を計算する必要があります。
仮想通貨の取得価額の計算方法
仮想通貨の取得価額は、主に次のいずれかの方法で計算します。
移動平均法
移動平均法は、仮想通貨を購入するたびに平均取得価額を計算する方法です。
取引ごとに取得価額を更新するため、保有している仮想通貨の価値や利益を把握しやすいという特徴があります。一方で、取引のたびに計算が必要になるため、売買回数が多い場合は管理に手間がかかることがあります。
総平均法
総平均法は、その年に購入した仮想通貨の取得価額をまとめて集計し、年間の平均取得価額を算出する方法です。
年間取引報告書などをもとに計算できるため、移動平均法と比べて計算しやすい点がメリットです。ただし、年末まで正確な所得金額を把握しにくいため、取引途中で利益を確認したい場合には不向きな面もあります。
個人が確定申告を行う場合は、原則として総平均法により計算します。
ただし、所轄税務署へ届け出ることで移動平均法を選択できる場合があります。
複数の取引所を利用している場合や取引回数が多い場合は、計算が複雑になるため、国税庁の計算書や各種ツールを活用するとよいでしょう。
参考:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和7年12月)」
必要経費として認められる可能性があるもの
仮想通貨取引に直接関連する支出については、必要経費として認められる場合があります。
例えば、
- ・売買手数料
- ・送金手数料
- ・仮想通貨取引に関する書籍代や情報収集費用(状況による)
- ・取引管理ツールの利用料(状況による)
などが考えられます。
ただし、すべての支出が必要経費になるわけではありません。実際に経費として認められるかは支出の内容や利用状況によって異なるため、判断に迷う場合は税理士などの専門家へ確認しましょう。
6.仮想通貨の税率の考え方
仮想通貨(暗号資産)の利益は、原則として雑所得に区分されます。雑所得は給与所得や事業所得など他の所得と合算して税額を計算するため、仮想通貨の利益だけで税率が決まるわけではありません。
例えば、同じ20万円の利益であっても、給与収入や事業所得の状況によって実際の税負担は異なります。また、仮想通貨の利益には所得税のほか、住民税が課税される場合もあります。そのため、利益が出た際は納税資金も考慮しておくことが大切です。
7.確定申告に必要な準備
仮想通貨の確定申告では、次のような情報を準備しておくとスムーズです。
- ・取引所の年間取引報告書
- ・売買・交換・入出金の履歴
- ・手数料の記録
- ・取得価額の計算資料
- ・他の所得に関する資料
- ・マイナンバーカード
- ・e-Tax利用に必要な環境
e-Taxを利用すれば、確定申告書の作成から提出までオンラインで進めることができます。マイナンバーカード連携を利用する場合は、マイナンバーカードや読み取り対応スマートフォンなどの準備が必要です。
8.仮想通貨の確定申告手順
STEP1:取引履歴を集める
まず、利用している取引所やウォレットの履歴を確認します。国内取引所だけでなく、海外取引所の取引も忘れずに確認しましょう。
STEP2:所得金額を計算する
売却、交換、利用、報酬受領などの取引ごとに、所得が発生しているか確認します。必要に応じて、国税庁の計算書や取引所の損益計算ツールを活用します。
STEP3:確定申告書を作成する
雑所得として申告する場合は、所得金額や必要経費などを入力します。他の所得や控除もあわせて確認しましょう。
STEP4:e-Taxまたは書面で提出する
申告書は、e-Taxでオンライン提出する方法と、税務署へ書面提出する方法があります。スマホやパソコンで手続きを進めたい場合は、e-Taxの利用が便利です。
STEP5:納税または還付を確認する
申告の結果、納税が必要な場合は期限までに納付します。還付がある場合は、指定口座への振込を待ちます。
9.よくある誤解と注意点
仮想通貨の確定申告では、次のような誤解に注意しましょう。
- ・日本円に換金していなければ税金はかからない
- ・海外取引所なら申告しなくてよい
- ・少額取引なら必ず申告不要
- ・損失が出ていれば計算しなくてよい
- ・仮想通貨同士の交換は課税対象外
いずれも、取引内容や所得状況によって判断が変わります。不安な場合は、国税庁の最新情報を確認するか、税理士などの専門家に相談しましょう。
10.確定申告するならスマホアプリで効率化
仮想通貨の確定申告は、取引履歴の整理や所得計算が複雑になりやすい分野です。特に、副業収入や事業所得がある人は、仮想通貨以外の収入も含めて申告準備を進める必要があります。
スマホで確定申告を進めたい場合は、アプリを活用する方法もあります。確定申告FinFinなら、スマホで収支管理から申告準備まで進められるため、確定申告に不慣れな方でも情報を整理しやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q. ビットコインを持っているだけでも税金はかかりますか?
- 原則として、保有しているだけでは税金はかかりません。ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)は、売却や交換、決済利用などによって利益が確定したときに所得が発生します。
Q. 仮想通貨同士の交換でも税金はかかりますか?
- はい、かかります。ビットコインをイーサリアムへ交換するなど、仮想通貨同士の交換も課税対象です。日本円に換金していなくても、交換時点で利益が発生したとみなされます。
Q. 仮想通貨で損失が出た場合でも確定申告は必要ですか?
- 損失が出ただけでは、必ずしも確定申告が必要になるわけではありません。ただし、他の所得や取引状況によって判断が異なるため、詳細は国税庁の案内を確認しましょう。
Q. 仮想通貨の利益は何所得になりますか?
- 原則として雑所得です。仮想通貨の売買による利益や、保有・運用によって受け取った報酬などは、多くの場合、雑所得として扱われます。
Q. 仮想通貨の利益が20万円以下なら確定申告は不要ですか?
- 会社員で年末調整を受けている場合は、給与所得以外の所得が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告が不要となることがあります。
ただし、医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税など)のために確定申告を行う場合は、20万円以下の仮想通貨所得も申告が必要です。
まとめ(3行要約)
・仮想通貨の利益は、原則として所得税の課税対象となり、多くの場合は雑所得として扱われます。
・売却だけでなく、交換・決済利用・報酬受領でも所得が発生する場合があります。
・個人事業主やフリーランスは事業所得などとあわせて申告し、会社員は給与所得以外の所得が年間20万円を超える場合などに確定申告が必要になります。








