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2025.05.26 確定申告

個人事業主なら絶対に使う!最低限覚えておきたい勘定科目と仕訳パターン

個人事業主なら絶対に使う!最低限覚えておきたい勘定科目と仕訳パターン

こまめに「仕訳」をしておくと、確定申告がとてもラクになる……わかってはいるけれど進められない。そんなふうにお悩みではりませんか?その原因は、「レシートの整理や通帳のチェックが面倒」といったこともありますが、多くは「勘定科目が難しい」「仕訳のパターンがわかりにくい」といった、「悩みながらでないと作業できないこと」にあるように感じています。

たしかに仕訳はちょっとやっかいなものです。ただし、個人事業主の場合、日々の仕訳に登場する勘定科目や仕訳のパターンは比較的限られています。そこで今回は、「最低限これを押さえておけばOK!」と言える勘定科目や仕訳パターンをご紹介します。ほぼ「絶対に使う」と言い切れるものですので、ぜひ目を通してくださいね。慣れている方も、復習のためにご利用ください!

1.事業主貸・事業主借など、個人事業主が絶対に使う勘定科目を押さえておく

確かに勘定科目や仕訳にはさまざまなものがありますが、「請求書を発行する」「報酬を受け取る」などについては、「受け取った報酬の一部が立て替えていたお金である」あるいは「前借していたお金である」といった場合を除き、大きく変わらない仕訳となります。

なお、FinFinのような会計アプリでは仕訳パターンの登録が可能です。仕訳の登録とは、「この企業に請求書を発行したら、この仕訳ができあがる」という流れをアプリやソフトに覚えさせておくことです。この機能を活用すれば、仕訳の手間がぐっと減ります。取引先が複数ある場合は、取引先ごとに登録しておきましょう。

ここで覚えておきたいのが、下記の科目です。まずはこれらだけでも覚えておくと、どんなソフトを使うときにもスムーズに進めることができるでしょう。

■売上・請求関係の勘定科目

勘定科目 仕訳のタイミング
売上 物やサービスを売って売上が発生したとき
売掛金 お金を得る権利を得た(請求書を発行した)とき
普通預金 銀行口座のお金に増減があったとき
現金 手元の現金に増減があったとき

次に、事業とご自身(ご家庭)でのお金の移動があった際に利用する勘定科目です。

■事業のお金と個人のお金がかかわるときの勘定科目

勘定科目 仕訳のタイミング
事業主貸 事業のお金を個人で使った(事業主から個人に貸した)
事業主借 個人のお金を事業で使った(事業主が個人から借りた)

なお、「貸した」「借りた」とありますが、自分自身を「事業主」と「個人」にわけて考えているためです。実際に貸し借りがあるわけではなく、「覚え方」だと思ってください。そのため、個人と事業間で「借りた分だけ返さなくてはならない」ということもありません。

2.個人事業主に絶対発生する取引に使う仕訳を押さえておく

では、上記の勘定科目にかかわる仕訳の例をご紹介します。これらは「個人事業主に絶対発生する取引に使う仕訳」と言えるもので、勘定科目と一緒に覚えておくことをおすすめします。

■請求書を発行したときの仕訳

請求書を発行し、後日、銀行口座に振り込まれる権利=「売掛金」が発生した場合。

借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
売掛金 100,000 売上 100,000 取引先〇〇(など)

■請求書通りに売上が振り込まれたときの仕訳

銀行口座にお金が振り込まれると「売掛金」が消滅したことになり、下記のような仕訳になります。

借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
普通預金 100,000 売掛金 100,000 取引先〇〇(など)

ただし、売上から源泉徴収された場合は下記の仕訳になります。「源泉徴収されたお金は事業のお金ではなく、個人のお金です。そのため、勘定科目としては「事業主貸」でも間違いないのですが、ここは「仮払税金」という科目を使うことをおすすめします。

なぜなら、売上から差し引かれる源泉所得税の仕訳に「仮払税金」を使うと、源泉所得税の仕訳だけをピックアップすることができるからです。「事業主貸」にした場合は他の仕訳と区別できず、源泉所得税だけを拾ってから集計するという手間が発生してしまいます。「支払調書」が発行されない場合も多いため(企業側に発行の義務はありません)、自身で計算することになった際のことを考えると、「仮払税金」のほうが簡単です。

借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
普通預金 99,790 売上 99,790 取引先〇〇(など)
仮払税金 10,210 売上 10,210 源泉徴収税

なお、下記のように売上をまとめても合算が合っていれば問題はありません。

借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
普通預金 99,790 売上 100,000 取引先〇〇(など)
仮払税金 10,210

お金のやりとりが現金になる場合は、「普通預金」を「現金」に差し替えてください。

■「事業主貸」が発生する仕訳:事業のお金で個人の支払いをした

先ほどご紹介した源泉徴収の仕訳のほか、事業で稼いだお金を個人的な生活費のために口座からおろした場合にも「事業主貸」を利用します。

借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
事業主貸 180,000 普通預金 180,000 生活費

■「事業主借」が発生する仕訳:個人のお金で事業経費を支払った

事業で使うものを個人のお金やクレジットカード、電子マネーなどで買った場合は、下記の仕訳になります。今回は文房具(消耗品)を購入したものとして考えましょう。

借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
消耗品 3,000 事業主借 3,000 文房具

なお、「どんな方法で支払ったのか」という情報は、事業主借を使った仕訳において不要なものです(情報としては、後々確認が必要になったときのために保存しておくことをおすすめします)。ご自身の管理のためにメモしておきたい場合には、摘要欄やその他の機能を使ってください。

さらに、事務所家賃を個人で支払った場合には、下記のようになります。

借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
地代家賃 80,000 事業主借 80,000 事務所家賃

「自宅の一部を利用している」という場合には、事業で利用している分の割合を定義してから経費計上する「家事按分」が必要です。詳しくはこちらの記事をご確認ください。

参考:副業で家賃や光熱費を経費にする人が覚えておくべき、家事按分について分かりやすく解説!
https://www.finfin.jp/information/freelance/post_41.html

以上の仕訳は、個人事業主であれば必ずといっていいほど発生するものです。これを基本に、他の勘定科目も使っていくようにしましょう。

3.確定申告をスムーズに終わらせるためにも、早めの着手を!

仕訳は、(できるだけ避けたいことですが)最悪、「一年分を溜め込んで一気に片付ける」ということも可能です。しかし、仕訳をこまめに、少なくとも1~3ヶ月に1度程度でも行うと、年間のお金の動きがしっかり把握でき、事業をどのように進めていけばよいかということも考えやすくなります。無駄も見つけやすくなりますし、節税の計画がしやすくなる可能性も大きいのです。

なお、会計アプリを使うとさらに情報が可視化され、仕訳を行うだけでも自然に会計知識が構築されていきます。FinFinのように「思い立ったらすぐに使える会計アプリ」であれば、作業そのものに対する苦手意識をなくしてくれるかも。なにより、確定申告が近づいてきても焦らずに済む……という安心感は大きいもの。今年こそ、この時期から、ぜひチャレンジしてみてください。

【スマホで簡単】FinFinを使って確定申告をしよう

毎日の仕訳に悩んでいる方は、会計アプリを使ってスマホで済ませるのがおすすめです。
スマホで写真撮って読み込むだけで、仕訳が完成します。仕訳で悩んでいる方はぜひ「FinFin」を試してみてください。

記事監修者紹介

天野大税理士事務所 税理士
天野大 先生 天野大税理士事務所

1980年鳥取県米子市生まれ。約8年の税理士事務所での勤務経験を経て、2019年東京都府中市で天野大税理士事務所を開業。雇わない・雇われない働き方「ひとり税理士」。 小規模法人やフリーランス・個人事業主の税務を得意とし「ビジネスを通して社会を元気にする」を理念にスモールビジネス専門の税理士として活動中。