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2025.10.06 確定申告

ふるさと納税と住宅ローン控除は併用可能?併用した場合のシミュレーションや注意点を解説

ふるさと納税、控除

ふるさと納税と住宅ローン控除は、どちらも税金の計算時に控除を受けられる制度です。さらに、医療費控除のようなほかの控除制度も日本には用意されており、ライフイベントに応じて活用することができます。
今回の記事では、こうした控除制度とふるさと納税の仕組みや併用の可否、注意点などを詳しく解説していきます。

1. ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できる?

「ふるさと納税」と「住宅ローン控除」は、どちらも税負担を軽減する制度です。
結論から言うと、両制度は併用可能です。ただし、申告方法や控除の順序によっては「控除ロス」、すなわち控除しきれない金額が出てしまう場合があります。
まずはそれぞれの制度の仕組みについて解説します。

ふるさと納税

ふるさと納税とは、出身地や居住地に関係なく、自分が応援したい自治体に寄付ができる制度です。自分自身で寄付金の使い道を指定でき、地域の名産品などのお礼の品もいただける魅力的な仕組みです。自治体に寄付を行うことで、自分が住んでいる自治体の住民税や所得税において寄付金控除が受けられます。控除額は寄付金額から2,000円を差し引いた金額になります。
ふるさと納税で控除を受ける方法は2つあります。

ワンストップ特例制度 確定申告不要で控除を受けることが可能。所得税からの控除は行われず、全額が翌年度分の住民税から控除される。ワンストップ特例が利用できるのは、寄付した自治体が5つ以下の場合のみ
確定申告 寄付金控除として所得税分はその年に納めた税金から還付され、住民税分は翌年の税額計算の際に控除が適用される

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を取得した場合に一定の要件を満たすと税金の控除が受けられる制度です。年末時点の住宅ローン残高の0.7%を所得税から控除できます。
従来は控除期間が原則10年間でしたが、最近の税制改正により、新築住宅や一定の性能基準(省エネ性能や長期優良住宅等)を満たす住宅については、最大13年間控除を受けられる場合があります。

2. ふるさと納税と住宅ローン控除併用での注意点

ワンストップ特例を使う場合は住宅ローン控除は所得税から、ふるさと納税は住民税から控除されますが、確定申告をする場合は、ふるさと納税も住宅ローン控除も所得税から控除されます。控除の順番は、先にふるさと納税の寄付金控除が行われ、その後に住宅ローンの控除が行われます。所得税で控除しきれなかった分は、一部が住民税から控除されます。
そのため、住宅ローン控除を住民税に振り替えた際に、住民税の控除限度を超過した分が切り捨てとなり、控除ロスが発生する可能性があります。

控除ロスを発生させないためには、ふるさと納税でワンストップ特例を申請する必要がありますが、次の場合にはワンストップ特例は申請できず、確定申告をしなくてはなりません。

医療費控除を申告する場合

年間10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超える医療費がかかった場合には、医療費控除が受けられます。医療費控除は年末調整で適用できないほか、医療費控除を受ける場合はワンストップ特例の申請ができないため、会社員の方も確定申告での対応が必要です。万が一ワンストップ特例を既に申請していた場合は無効になるのでご注意ください。

住宅ローン控除をはじめて受ける場合

住宅ローン控除をはじめて受ける場合は、住宅の区分に応じた提出書類を添付して確定申告をする必要があります。2年目以降は年末調整で控除を受けることが可能です。

3. 併用時のシミュレーション

ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する場合の控除額について、年収380万円・独身の会社員を例にシミュレーションしてみましょう。

給与所得控除後の金額  260万円
所得控除の合計額  105万円(基礎控除48万円、社会保険料控除57万円)
課税所得金額  155万円
所得税  課税所得×5%=7万7500円
住民税  所得割10%+均等割5000円=16万円
その他 ・ 前年度も課税所得金額は同じと仮定
・ 住宅ローン控除の額は18万円
(住民税からの控除上限額は9万7500万円)
・ふるさと納税で控除上限額3万7000円を寄付
(寄付金控除額3万5000円)

ワンストップ特例を利用

ワンストップ特例を使った場合、住宅ローン控除の18万円のうち所得税で差し引けない9万7500円は住民税から全額差し引かれます。また、寄附金控除の3万5000円についても住民税から全額控除できるため、控除が無駄になることはありません。控除適用後の税額は次のとおりです。

・所得税:住宅ローン控除で全額相殺 → 0円
・住民税:16万円− 9万7500円- 3万5000円 =2万7500円

確定申告を利用

ふるさと納税の寄附金控除は「所得控除」として扱われるため、課税所得から3万5000円が差し引かれます。所得税率5%の場合、軽減効果は1750円で所得税額は7万5750円となります。
住宅ローン控除18万円のうち、所得税で控除しきれない金額は10万4250円ですが、住民税で差し引けるのは9万7500円までのため、6750円分は控除されずロスが発生します。
また、ふるさと納税については、所得税で1750円が控除された結果、残り3万3250円が住民税から控除されます。控除適用後の税額は以下の通りです。

・所得税:0円
・住民税:16万円-9万7500円-3万3250円=2万9250円

4. 損しないためのポイント

住宅ローン控除2年目以降はワンストップ特例でOK

住宅ローン控除の2年目以降で確定申告が不要な場合は、ワンストップ特例制度を利用すれば手間なく控除を受けられます。

確定申告が必要な場合でも基本的にプラス

控除ロスが発生する場合もありますが、ふるさと納税の返礼品メリットを考えれば、トータルではプラスになることがほとんどです。

控除上限は必ずシミュレーションを

寄付額が控除上限を超えないように、ふるさと納税のポータルサイトにある控除上限額シミュレーターを使って事前に確認しておくのがおすすめです。

5. まとめ

ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できます。ただし、住宅ローン控除の初年度や医療費控除などを利用している場合は、ふるさと納税の控除を正しく反映させるために確定申告が必要になることがあります。

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