近年では副業を解禁する企業が増え、パートやアルバイトなどを掛け持ちして収入を得る「ダブルワーク」を選ぶ方が増えています。会社員の場合は、勤務先が年末調整で所得にかかる税金を計算してくれるため、自分で確定申告を行う必要はありません。しかし、本業とは別で収入を得ている場合は、働き方や年末調整の有無によって、確定申告が必要かどうかを自分で判断しなければなりません。
本記事では、ダブルワークで働く場合に確定申告が必要なケース・不要なケースの判断基準をわかりやすく整理し、経費の扱いや会社にバレないためのポイントを実践的に解説します。確定申告を怠るとペナルティを受ける可能性もあるため、正しく理解しておきましょう。
また、スマホ一つで確定申告ができる「スマホ会計FinFin」では、ダブルワークならではの複雑な税額計算や確定申告書の作成もアプリがサポート。アプリの質問に〇✕で答えていくだけで、簡単かつスピーディーに確定申告に必要な書類の作成・提出まで完了します。
目次
1. ダブルワークとは
ダブルワークとは、複数の仕事から収入を得ている状態を指します。
一般的には、会社員の本業に加えてアルバイトやパート、業務委託などで別の収入源を持つケースが該当します。必ずしも「正社員+副業」という形だけでなく、働き方や収入形態が幅広いのが特徴です。
さらに近年では、インターネットを通じて収入を得る方法も多様化しています。クラウドソーシング、アフィリエイト、フリマアプリでの販売収益などは代表例です。また、株式投資や不動産投資による収益がある場合も、広い意味でダブルワークに含めて考えることができます。
ダブルワークの具体例
ダブルワークの形態は多岐にわたります。一例を挙げると次のような働き方があります。
- ・平日は本業の会社で勤務し、夜や休日に飲食店でアルバイト
- ・スキマ時間に翻訳やデザインの案件を受注して副収入を得る
- ・マーケティング担当として働きながら、土日にオンライン講座の講師を兼業
2. ダブルワークにおける確定申告と年末調整
年末調整と確定申告はどちらも所得税に関わる手続きですが、対象や手続きを行う主体が異なります。
年末調整とは
会社が従業員に代わって、毎月の給与から天引き(源泉徴収)された所得税の過不足を年末に精算する手続きです。重要なポイントは、年末調整の対象となるのは「その会社から支払われた給与のみ」という点です。給与所得者が1か所だけで勤務している場合は、会社が税金の精算を行うため、通常は自分で確定申告を行う必要はありません。
確定申告とは
納税者本人が、1年間で得たすべての所得を合算して税額を計算し、税務署に申告・納税する手続きです。日本の申告納税制度では、所得を得た人が自ら申告・納税することが原則となっています。
ダブルワークの場合
複数の勤務先から給与を得ている場合、年末調整は主に本業の勤務先でしか受けられません。そのため、副業分の給与や給与以外の所得(雑所得・事業所得)は年末調整に含まれず、別途確定申告が必要になります。確定申告では、ダブルワークで得た全ての収入を合算して所得税・住民税を計算し、正しく納税することが求められます。
3. ダブルワークで確定申告が必要な人
ダブルワークで働く場合でも、全員が確定申告をするわけではありません。
以下のいずれかに当てはまる場合は、確定申告が必要になります。
確定申告が必要となるケース
- 1. 複数の会社から給与を受け取り、年末調整をしていない勤務先の年間給与が20万円を超える場合
- 2. 複数の会社で誤って年末調整をしてしまった場合
- 3. アルバイトを掛け持ちし、どちらの勤務先でも年末調整を受けていない場合
1. 複数の会社から給与を受け取り、年末調整をしていない勤務先の年間給与が20万円を超える場合
ダブルワークで複数の会社から給与を得ている場合、年末調整は原則として1社の勤務先でしか行えません。
本業の会社で行われる年末調整では、副業の収入は含めずに所得税が計算されます。そのため、本業以外の勤務先で年末調整を受けていない、かつ副業での所得が年間20万円を超える場合には、確定申告を行い複数の会社から得た給与を合算して正しい税額を計算する必要があります。
一方、副業側の給与が年間20万円以下であれば、確定申告は不要です。ただし、副業の給与から源泉徴収されている場合は、確定申告を行うことで払い過ぎた税金が還付されるケースもあるため、条件に当てはまる場合は申告した方がお得といえるでしょう。
2. 複数の会社で誤って年末調整をしてしまった場合
アルバイトを掛け持ちするなど、2か所以上の会社から給与を受け取っている場合、それぞれの会社で年末調整を受けてしまうと注意が必要です。
年末調整は、本来1社でしか受けられない手続きですが、複数の会社で年末調整を行うと、控除が重複して適用される可能性があります。その結果、本来の納税額より少なく計算されてしまい、正しい税額での精算ができなくなってしまうため、確定申告を行って正しい所得税額に計算し直す必要があります。
3. アルバイトを掛け持ちし、どちらの勤務先でも年末調整を受けていない場合
アルバイトを掛け持ちしている場合、2つ以上の勤務先から給与を受け取っていても、どちらの会社でも年末調整を行っていないことがあります。年末調整を行わないと所得税の精算がされないため、確定申告を行う必要があります。
4. ダブルワークでも確定申告が不要になるケース
ダブルワークをしていても、以下に該当する場合は確定申告が不要となります。
1. 給与以外の副業所得が20万円以下
給与以外の副業で得た所得が年間20万円以下であれば、原則として所得税の確定申告は不要です。「所得」とは収入(売上)ではなく、経費を差し引いた儲けである点にご注意ください。
2. 掛け持ちの給与合計が160万円以下
アルバイトやパートを掛け持ちしている場合でも、収入の合計が年間160万円*以下であれば、所得税の課税対象にはならないため、原則として確定申告は不要です。
※基礎控除95万円と給与所得控除65万円の合計額
ただし、給与から所得税が天引き(源泉徴収)されている場合は、確定申告を行うことで払い過ぎた税金の還付を受けることができます。申告を行わなければ、過剰に支払った税金は返ってこないため注意が必要です。
5. 確定申告をしないとどうなる?
確定申告が必要なのに申告を怠ってしまうと、本来の税金に加えて以下のペナルティが課される可能性があります。
| 無申告加算税 | 無申告加算税は、本来納めるべき税額に応じて課されるペナルティで、税額に応じて以下の税率が適用されます。
ただし、税務署の調査が入る前に自主的に期限後申告した場合は、これが5%に軽減されることがあります。申告漏れに気づいたら速やかに期限後申告を行うのが重要です。 |
| 延滞税 | 延滞税は、本来の納付期限から実際に税金を納めるまでの期間に応じて課される利息のような税金です。無申告加算税とは別に課され、金額は国が自動で計算するため、自分で計算する必要はありません。 |
※引用:確定申告を忘れたとき(国税庁)
6. 確定申告をするなら、初心者でも迷わず使える「FinFin」がオススメ!
本業の給与だけでなく、アルバイトやパート、副業で得た収入がある場合は、年末調整だけでは税額を正しく計算できないため、確定申告が必要です。確定申告は、書類の準備や申告書の作成、提出まで意外と手間がかかり、ダブルワークや副業があると税額計算も複雑になりがちです。
「スマホ会計FinFin」なら、そんな複雑な計算や書類作成も全てアプリにお任せ。簡単な質問に答えていくだけで簡単に申告書の作成・提出が完了するほか、入力ミスや計算漏れを防げるので安心です。ダブルワークで確定申告が必要な方は、申告シーズン前の今、FinFin のインストールがおすすめです。
自分の働き方に合わせたモードを選べる
スマホ会計FinFinには、お客様の働き方に応じた3種類のモードを用意しています。
・事業者モード
開業届を提出している方や個人事業主・フリーランスの方向け。日々の仕訳登録から確定申告までのすべての機能が利用できます。
・かんたんモード
会社勤務で副業をしている方(個人事業主を除く)やパート・アルバイトの方向け。お持ちの源泉徴収票を読み取るだけで、簡単に確定申告ができます。
・控除だけモード
ふるさと納税や医療費控除などの必要な控除だけに集中して効率よく申告したい方向け。支払った医療費や購入した医薬品の合計金額などを入力するだけで、医療費控除額とセルフメディケーション税制を利用した場合にいくらお得になるかをシミュレーションできます。
仕訳の自動化を実現
レシートや領収書をスマホで撮るだけで、適切な勘定科目を推定して自動で仕訳登録。さらに、銀行口座やクレジットカードと連携すれば手間なく記帳ができ、作業時間と入力ミスを大幅に削減します。
確定申告初心者でも操作しやすい
始めて確定申告を行う方や会計用語が分からない方でも、画面内のヘルプや説明文を見ながら作業できるため安心。ハードルの高い書類作成や仕訳登録なども、アプリ内の質問に答えていくだけで、自動で必要な申告書類を作成できます。
マイナポータル連携で必要な情報が自動反映
マイナポータルとの連携により、主たる給与の源泉徴収票や医療費通知における必要情報が自動で申告書へ反映されるため、確定申告が必要な会社員の方や医療費控除を検討している方の申告の手間が大幅に削減できます。
7. ダブルワークの確定申告における注意点
所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は必要
所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要になることがあります。
所得税では「給与以外の所得が年間20万円以下なら申告不要」という扱いがありますが、住民税には同じ特例が適用されないためです。その場合は、お住まいの市区町村の役所で忘れずに手続きを行いましょう。
所得税の確定申告を行った場合は、その情報が市区町村へ自動で連携されるため、別途住民税の手続きを行う必要はありません。
会社に副業が知られるリスク
確定申告を行うと住民税の額が増えるため、会社に副業が発覚することがあります。会社員の住民税は通常給与天引き(特別徴収)で納付されるため、会社に届く住民税の決定通知書で金額の変化が把握されやすくなります。
| 会社にバレるリスクを避けたいとき 住民税の納付方法を「自分で納付(普通徴収)」にすることを推奨します。これにより、給与所得以外の所得にかかる住民税の納付書が自宅に届くので、自分自身で住民税を納めることが可能になります。ただし、普通徴収を選べるのは原則として、給与所得以外(事業所得・雑所得等)に対する住民税です。副業がアルバイトの給与所得である場合は、普通徴収への切り替えが認められないことが多く、結果的に本業の給与と合算して特別徴収され、会社に知られるリスクが高くなります。 |
8. まとめ
ダブルワークをしている場合、確定申告が必要かどうかは、年末調整の有無や範囲、所得の金額などによって異なります。所得税の確定申告が不要なケースでも、住民税の申告は別途必要になる場合があることに注意しましょう。また、確定申告を行うことで、税金の還付を受けられるケースもあります。
自身の働き方や収入、年末調整の状況を確認し、確定申告が必要かどうかを正しく判断しながら、必要に応じて期限内に手続きを行うことが大切です。
9. よくある質問
Q.ダブルワークの確定申告はいつ行えばいいですか?
確定申告は、原則として2月16日〜3月15日の期間内に行う必要があります。この期間を過ぎると、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課される可能性があるため、期日内の手続きを心がけましょう。
Q.ダブルワークの確定申告で経費として計上できるものは何ですか?
本業以外の所得が業務委託や個人事業(事業所得・雑所得)の場合、収入を得るために直接かかった支出は「必要経費」として計上できます。経費を正しく計上すると課税対象となる所得を減らせるため、節税につながります。
代表的な経費の例
|
なお、自宅と仕事で共用する費用は、事業で使う分だけを按分して経費に計上できます。家賃や光熱費を経費にする際は、業務で使う面積の割合や利用時間など、客観的かつ合理的な基準で按分比率を説明できるようにしておきましょう。









