個人事業主の請求書の書き方・発行方法を完全ガイド!記載項目も解説
フリーランス・個人事業主が請求書を発行するときは、必要な記載項目や発行のタイミング、インボイス制度への対応などを正しく理解しておくことが大切です。記載漏れや送付ミスは、入金の遅れにつながる可能性もあります。
この記事では、個人事業主向けに請求書の基本的な役割から、書き方・発行手順、消費税や源泉徴収の注意点、保存方法までわかりやすく解説します。
| ▶︎この記事でわかること
・個人事業主が発行する請求書の役割と必要な記載項目 |
目次
1. 請求書とは?個人事業主が発行する目的
請求書とは、商品やサービスを提供した相手に対して、取引内容や請求金額、支払期日などを伝え、代金の支払いを求めるための書類です。個人事業主が取引先とスムーズに金銭のやり取りを行うために重要な役割を果たします。
請求書を発行することで、取引内容や請求金額を明確に伝えられるほか、入金状況の管理や帳簿付けにも役立ちます。ただし、請求書を発行・送付していないからといって、必ずしも代金を請求できなくなるわけではありません。代金の支払いや請求の条件は、契約内容や実際の取引状況によって異なります。
請求書に決まったフォーマットはある?
一般的な請求書には、法律で定められた統一のフォーマットはありません。ただし、取引先が指定する様式がある場合は、それに従って作成するのが基本です。指定がない場合は、請求先や発行者、取引内容、請求金額、支払期日などを記載し、相手が内容を確認しやすい形式に整えましょう。
一方、インボイス制度に対応した「適格請求書(インボイス)」には、法律で定められた記載事項があります。2023年10月1日の制度開始以降、適格請求書発行事業者は、原則として取引先から求められた場合に適格請求書を交付し、その写しを保存する必要があります。
適格請求書(インボイス)に必要な記載項目
適格請求書には、原則として次の6項目を記載します。
- 1. 適格請求書発行事業者の氏名または名称、登録番号
- 2. 取引年月日
- 3. 取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
- 4. 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜きまたは税込み)および適用税率
- 5. 税率ごとに区分した消費税額等
- 6. 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
なお、小売業や飲食店業など、一定の事業では適格簡易請求書を交付でき、宛名を省略できる場合があります。また、適格請求書を発行できるのは、税務署長の登録を受けた適格請求書発行事業者です。
詳しくは、国税庁の「No.6625 適格請求書等の記載事項」をご確認ください。
2. 個人事業主の請求書に必要な記載項目
個人事業主が請求書を作成するときは、取引先が請求内容を正しく確認できるよう、必要な情報を漏れなく記載することが大切です。
一般的な請求書には、法律で統一された記載項目が定められているわけではありませんが、取引を円滑に進めるために記載しておきたい項目があります。インボイス登録をしている場合は、適格請求書として必要な項目も確認しましょう。
2-1. 一般的な請求書に記載する項目
個人事業主が発行する請求書には、次の項目を記載するのが一般的です。
| 記載項目 | 記載する内容・ポイント |
| 請求先 | 取引先の会社名や担当者名。必要に応じて「御中」「様」を使い分ける |
| 発行日 | 請求書を発行した日付。取引先から指定がある場合は、その指定に従う |
| 請求書番号 | 請求書を管理するための番号。必須ではないが、問い合わせや入金管理に便利 |
| 発行者情報 | 自分の屋号・氏名・住所・電話番号など 関連記事:Finタメ・マガジン「どんな屋号がおすすめ?個人事業主や副業をする人が屋号をつけるときのポイント」 |
| 取引内容 | 商品名やサービス名、数量、単価など、何に対する請求なのかがわかる情報 |
| 取引日 | 商品の納品日やサービスの提供日など。発行日とは異なる場合がある |
| 請求金額 | 商品・サービスの金額、消費税、合計金額など |
| 支払期日 | 取引先が代金を支払う期限 |
| 振込先 | 金融機関名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義など |
| 備考 | 振込手数料の負担、支払いに関する連絡事項など、必要な情報 |
これらの項目を記載しておけば、取引先が請求内容や支払方法を確認しやすくなります。ただし、すべての項目が法律上必須というわけではありません。取引先の指定や契約内容に応じて調整しましょう。
2-2. 請求金額の計算方法と消費税の記載
請求金額を記載するときは、取引内容ごとの金額を集計し、消費税の扱いを明確にすることが重要です。
例えば、税率10%の対象となる取引で、税抜金額が50,000円の場合、消費税額は5,000円、税込の請求金額は55,000円となります。
| 商品・サービス代金(税抜) | 50,000円 |
| 消費税(10%) | 5,000円 |
| 請求金額(税込) | 55,000円 |
軽減税率8%の対象となる取引が含まれる場合は、税率ごとに金額を区分して記載すると、請求内容が明確になります。適格請求書を発行する場合は、税率ごとに区分した対価の額や消費税額等を記載する必要があります。
なお、消費税を請求できるかどうかや、請求金額をどのように設定するかは、取引条件や契約内容によって異なります。見積書や契約書で合意した金額を確認して作成しましょう。
2-3. 支払期日と振込先の記載
請求書には、取引先がいつまでに支払えばよいかがわかるよう、支払期日を記載しましょう。支払期日は、契約書や発注書、取引先との合意内容に基づいて設定します。
例えば、「2026年11月30日」のように具体的な日付を記載すると、支払期限が明確になります。「月末締め・翌月末払い」などの取引条件がある場合も、実際の支払期日を確認して記載すると安心です。また、銀行振込で代金を受け取る場合は、振込先の情報を正確に記載します。口座番号や名義に誤りがあると、入金が遅れる可能性があるため、発行前に確認しましょう。
ポイント: 請求書は、取引先が「何に対して、いくらを、いつまでに、どこへ支払うのか」を確認できるように作成することが大切です。取引先指定のフォーマットがある場合は、そちらを優先しましょう。
3. 個人事業主が請求書を作成・発行する手順
個人事業主が請求書を発行するときは、取引内容や契約条件を確認したうえで、請求書を作成し、取引先へ送付します。発行の流れを把握しておけば、記載漏れや送付ミスを防ぎやすくなります。
ここでは、請求書を作成してから入金を確認するまでの手順を4つのステップで解説します。
STEP1:取引内容と請求条件を確認する
まずは、商品やサービスの提供内容、請求金額、支払期日などを確認します。
具体的には、次の項目をチェックしましょう。
- ・商品・サービスの内容や数量
- ・単価と合計金額
- ・消費税の扱い
- ・請求締め日と支払期日
- ・請求書の提出先・提出方法
- ・取引先指定のフォーマットの有無
支払期日は、契約書や発注書などに定められた条件があれば、それに従います。特に取り決めがない場合は、取引先と相談して決めましょう。自分で希望する支払期日を提示することもできますが、取引先との合意が必要です。特に、継続的な取引では「月末締め・翌月末払い」など、締め日と支払期日が決まっていることがあります。請求漏れや入金遅れを防ぐためにも、あらかじめ取引先との条件を整理しておくことが重要です。
STEP2:請求書を作成する
取引内容と請求条件を確認したら、請求書を作成します。
請求書は、Excelやスプレッドシートで作成するほか、請求書テンプレートや請求書作成サービスを利用する方法もあります。どの方法でも、請求先・発行者・取引内容・請求金額・支払期日などを正確に記載することが大切です。
作成時には、次の点を確認しましょう。
- ・請求先の会社名や担当者名に誤りがないか
- ・取引内容・数量・単価が正しいか
- ・消費税や合計金額の計算に誤りがないか
- ・支払期日や振込先が正しいか
- ・インボイス登録事業者の場合、適格請求書の記載要件を満たしているか
請求書の金額や振込先に誤りがあると、修正や再発行が必要になる場合があります。送付前に内容を見直し、正確な請求書を作成しましょう。
STEP3:請求書を取引先へ送付する
請求書が完成したら、取引先へ送付します。主な送付方法は、郵送と電子データでの送付です。
| 送付方法 | 特徴・注意点 |
| 郵送 | 紙の請求書を送付する方法。宛先や郵送日数を確認する |
| PDFをメールで送付 | 電子データで送れるため、郵送の手間や費用を抑えやすい |
| 請求書サービスで送付 | 作成から送付までをまとめて管理できる場合がある |
どの方法で送付するかは、取引先の指定に従うのが基本です。PDFでの送付が認められている場合でも、メールの件名や本文に請求内容を簡潔に記載し、ファイルの添付漏れがないか確認しましょう。
また、電子メールなどで請求書データを送受信した場合は、電子帳簿保存法に基づく電子取引データの保存ルールにも注意が必要です。電子データで送付・受領した請求書は、原則として電子データのまま保存する必要があります。
詳しくは、国税庁の電子帳簿等保存制度特設サイトを確認してください。
3-4. STEP4:入金を確認し、請求書を保存する
請求書を送付したら、支払期日までに入金されているかを確認します。入金が確認できたら、請求書や取引に関する書類を整理して保存しましょう。
支払期日を過ぎても入金が確認できない場合は、すぐに未払いと判断せず、振込状況や取引先の処理状況を確認したうえで、必要に応じて連絡します。
請求書は、確定申告や取引履歴の確認にも役立つ書類です。個人事業主が保存すべき帳簿書類の保存期間は、書類の種類や税務上の区分などによって異なります。請求書を含む取引関係書類は、法令に沿って適切に保存しましょう。
ポイント: 請求書は、作成して送付したら終わりではありません。入金確認と書類保存までを一連の業務として管理することで、請求漏れや未入金への対応がしやすくなります。
4. 個人事業主の請求書で注意したい消費税・インボイス制度
個人事業主が請求書を発行するときは、消費税の扱いとインボイス制度への対応を確認することが重要です。特に、課税事業者か免税事業者か、適格請求書発行事業者として登録しているかによって、請求書の記載内容や取引先への影響が異なります。
4-1. 消費税を請求書に記載する必要はある?
消費税の課税対象となる取引では、請求金額に消費税を含めて請求することが一般的です。請求書には、税抜金額・消費税額・税込金額などを記載すると、取引先が金額の内訳を確認しやすくなります。ただし、消費税の納税義務があるかどうかと、取引先に消費税相当額を請求できるかどうかは、分けて考える必要があります。
例えば、免税事業者であっても、取引価格は取引先との合意によって決まります。免税事業者だからといって、消費税相当額を請求できないと一律に決まっているわけではありません。請求金額を決める際は、契約内容や見積書、取引先との合意を確認しましょう。
4-2. 課税事業者と免税事業者で何が違う?
消費税の納税義務がある課税事業者と、原則として納税義務が免除される免税事業者では、消費税の申告・納税などの取り扱いが異なります。各用語を整理しましょう。
| 区分 | 主な特徴 |
| 課税事業者 | 原則として、課税売上げなどに基づいて消費税の申告・納税を行う |
| 免税事業者 | 基準期間の課税売上高などの要件を満たす場合、原則として消費税の納税義務が免除される |
| 適格請求書発行事業者 | 登録を受けた事業者。原則として課税事業者となり、インボイスの交付・保存などの義務がある |
免税事業者がインボイス制度への登録を受けると、原則として課税事業者となり、消費税の申告・納税が必要になります。登録するかどうかは、取引先の状況や事務負担、税負担などを踏まえて検討しましょう。
4-3. インボイス制度に対応した請求書を発行するには?
インボイス制度では、買手が仕入税額控除を受けるために、原則として帳簿と適格請求書などの保存が必要です。そのため、取引先からインボイスの発行を求められることがあります。
適格請求書を発行するには、税務署長から適格請求書発行事業者として登録を受ける必要があります。登録を受けていない事業者は、適格請求書を発行できません。
適格請求書発行事業者が請求書を作成する際は、主に次の点を確認しましょう。
- ・登録番号を記載しているか
- ・取引年月日や取引内容を記載しているか
- ・税率ごとに区分した対価の額と適用税率を記載しているか
- ・税率ごとに区分した消費税額等を記載しているか
- ・取引先の氏名または名称を記載しているか(適格請求書の場合)
適格請求書の記載要件や、簡易インボイスを発行できるケースについては、国税庁の「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」で確認できます。
4-4. インボイス未登録の場合、取引先に影響はある?
インボイス登録をしていない事業者が発行する請求書は、適格請求書には該当しません。そのため、取引先が課税事業者である場合、原則として、その取引について仕入税額控除を受けられる金額に影響する可能性があります。
ただし、インボイス制度には、一定の要件を満たす場合に仕入税額控除を認める経過措置があります。2026年10月1日から2028年9月30日までの期間は、対象となる課税仕入れについて、仕入税額相当額の70%を控除できる経過措置が設けられています。
この経過措置は、すべての取引に一律に適用されるものではありません。対象となる取引や必要な帳簿・請求書の保存要件などを確認する必要があります。
インボイス登録をしていない個人事業主は、取引先から登録の有無を確認されたり、価格や取引条件について相談されたりすることがあります。登録するかどうかは、売上規模や取引先の状況、消費税の負担などを踏まえて検討しましょう。
ポイント: 請求書の発行では、単に消費税額を記載するだけでなく、自身の課税区分やインボイス登録の有無に応じた対応が必要です。制度の詳細は変更される可能性もあるため、最新情報を国税庁の公式サイトで確認しましょう。
経過措置やインボイス登録については以下の記事でも解説しています。
Finタメ・マガジン「【2026年10月最新】インボイス制度の経過措置とは?控除割合が80%→70%に変更」
Finタメ・マガジン「これから開業する人へ|インボイス制度対応で必要な手続きと準備ガイド」
Finタメ・マガジン「免税事業者とは?消費税登録が必要なケースと課税事業者になる判断ポイント」
5. 個人事業主の請求書で源泉徴収が必要なケース
個人事業主が請求書を発行する際は、報酬が源泉徴収の対象になるかどうかを確認しましょう。源泉徴収とは、報酬を支払う側が、支払金額から所得税および復興特別所得税を差し引き、受け取る側に代わって国に納付する仕組みです。
原稿料やデザイン料、税理士などの特定の資格を持つ人への報酬などは、源泉徴収の対象となる場合があります。ただし、すべての報酬が対象になるわけではなく、業務内容や支払う側の状況によって異なります。
源泉徴収の対象となる報酬を請求する場合は、取引先と認識を合わせ、必要に応じて請求書に源泉徴収税額を記載しましょう。
源泉徴収の対象者や税額の計算方法、請求書の具体的な書き方については、Finタメ・マガジン「フリーランスの請求書に源泉徴収は必要?対象者・計算方法・書き方を解説」で詳しく解説しています。
請求書の作成・発行には「請求書FinFin」
個人事業主が請求書を発行する際は、請求書作成サービスを活用すると、書類の作成や送付にかかる手間を減らせます。「請求書FinFin」では、スマホやPCで請求書の作成・発行に加え、日々の請求業務を効率化する便利な機能を利用できます。
- 見積書から請求書へ変換:作成済みの見積書をもとに、請求書を作成できます。
- 書類の複製:過去に作成した書類を複製して、次回の作成に活用できます。
- 選べる発行・共有方法:メール送信、リンク発行、PDF発行に対応しており、取引先や用途に合わせて請求書を共有できます。
見積書からの変換や書類の複製を活用すれば、同じ取引先との継続的な取引でも、請求書を作成する手間を減らせます。また、メール送信やリンク発行、PDF発行など、取引先に合わせた方法で請求書を共有できます。
請求書の作成・発行をスマートフォンで手軽に行いたい方や、請求業務を効率化したい個人事業主の方は、「請求書FinFin」をぜひご活用ください。
よくある質問(FAQ)
Q:個人事業主は請求書を発行する必要がありますか?
A:請求書の発行が法律で一律に義務付けられているわけではありません。ただし、契約内容や取引先との取り決めによって発行が必要な場合があります。また、適格請求書発行事業者には、原則として取引先から求められた場合に適格請求書を交付する義務があります。
Q:個人事業主の請求書には何を記載すればよいですか?
A:一般的な請求書には、請求先、発行者情報、取引内容、請求金額、支払期日、振込先などを記載します。適格請求書を発行する場合は、登録番号や税率ごとの対価の額、消費税額など、法律で定められた記載事項も必要です。
Q:個人事業主はインボイス登録をしていなくても請求書を発行できますか?
A:はい、インボイス登録をしていない個人事業主も、通常の請求書を発行できます。ただし、適格請求書発行事業者として登録していない場合、適格請求書(インボイス)は発行できません。取引先への影響や消費税の負担などを踏まえて、登録するかどうかを検討しましょう。
Q:請求書はPDFで発行してもよいですか?
A:取引先が認めていれば、請求書をPDF形式で発行し、メールなどで送付することもできます。電子データで請求書をやり取りする場合は、電子帳簿保存法に基づく保存ルールにも注意しましょう。
まとめ(3行要約)
- ・個人事業主の請求書には、請求先・取引内容・請求金額・支払期日などを正確に記載しましょう。
- ・インボイス登録の有無によって記載事項や交付義務が異なるため、自身の状況に応じた対応が必要です。
- ・請求書の作成・発行を効率化するには、見積書からの変換やメール送信などに対応した「請求書FinFin」の活用がおすすめです。








